立命館大学は日本学術振興会の特別研究員を直接雇用できる新制度の受入機関に決まったのを受け、若手研究者に対して10月から待遇改善と今後のキャリアパス形成に向けた独自の支援を始める。

 立命館大学によると、新しい直接雇用型学振PD等は専門研究員の職名で常勤の有期雇用研究職員とする。給与は日本学術振興会特別研究員の研究奨励金を上回る額を年俸制で支給するほか、独自の4つの施策に対応した10種類以上の支援制度を提供する。

 独自の施策の1つが「グローバルに競争力がある研究者の育成」。国際学会などへの海外渡航費を支援するほか、海外大学との共同プログラムを提供する。

 2つ目は「自ら研究費を獲得し、研究を推進できる研究者の育成」。科研費獲得セミナーや科研費研究計画書ブラッシュアップ制度を新設する一方、外国語での論文投稿時の投稿・校閲費支援制度などを設ける。

 3つ目が「理論と実践力を兼ね備えた研究者の育成」。大学教員に求められる教育面での基本的な力量を養うため、新任教員向けプログラムを活用した研修の機会を提供する。

 4つ目は「女性研究者の育成」。女性研究者のキャリアパス構築や研究開始時の支援、ライフイベントにかかわる支援を手厚くする。これらの環境整備を通じて、立命館大学は社会共生価値の創造とイノベーションに取り組む「次世代研究大学」の実現を目指す。

 日本学術振興会では、従来雇用関係を有していなかった特別研究員-PD・RPD・CPD(以下「PD等」)について、受入研究機関で雇用することを可能にしてPD等の育成と研究環境の向上を図るため、2023年度より「研究環境向上のための若手研究者雇用支援事業」を実施する。若手研究者雇用支援事業に登録申請して「雇用制度導入機関」として登録された機関は国公立大学39校、私立大学15校など。

参考:【立命館大学】日本学術振興会の新事業を活用した若手研究者等への支援 立命館大学独自で若手研究者等の待遇改善・教育方針を決定 研究活動促進に向け、2023年 10月 1日より運用開始(PDF)
【日本学術振興会】研究環境向上のための若手研究者雇用支援事業

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大学ジャーナルオンライン編集部

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