東京大学、東京工業大学、広島大学の共同研究でパラジウムとビスマスからできた固体が特殊な超伝導状態になることを発見しました。近年注目を集めている2次元の世界を動き回る電子が実現する特殊な超伝導状態の研究において、新たな指針を提案することになるでしょう。

 固体は表面と内部で性質が大きく異なる場合があり、固体物理において重要な研究課題の一つとなっています。中でも近年注目を集めているのが表面で起こる超伝導現象です。固体の表面という2次元の世界で運動する電子が、3次元にはない特殊な超伝導状態を作ることがあります。このときマヨラナ粒子という、いまだ未確認の粒子が生まれている可能性が指摘されています。マヨラナ粒子がもつ性質を利用すれば、これまでにない全く新しい機能を持つ電子デバイスが作れるのではないかと期待されています。こうした特殊な超伝導体を実現するために、研究グループはパラジウムとビスマスから構成される超伝導体に着目しました。良質な結晶を作製し、その表面で特殊な超伝導状態ができていることを確認することに成功しました。理論面での研究が先行する固体表面での超伝導現象において、実験での研究を進めていく目処が立ったことになります。

 今回は超伝導状態を詳細に調べるのに必要な極低温での実験ができなかったため、引き続きそういった測定をしていくとしています。今後の研究次第ではマヨラナ粒子の存在を実証したり、さらには全く新しい電子デバイスへの応用といった道も開けるかもしれません。

出典:【広島大学】トポロジカルな電子構造をもつ新しい超伝導物質の発見~トポロジカル新物質の探索に新たな指針~

東京大学

明治10年設立。日本で最も長い歴史を持ち、日本の知の最先端を担う大学

東京大学は東京開成学校と東京医学校が1877(明治10)年に統合されて設立されました。設立以来、日本を代表する大学、東西文化融合の学術の拠点として、世界の中で独自の形で教育、研究を発展させてきました。その結果、多岐にわたる分野で多くの人材を輩出し、多くの研究成[…]

東京工業大学

時代を創る知を極め、技を磨き、高い志と和の心を持つ理工人を輩出し続ける理工大学の頂点

東京工業大学は産業の近代化が急務となっていた1881(明治14)年に東京職工学校として設立されました。設立以来、優秀な理工系人材と卓越した研究成果を創出し続け、現在も日本の理工系総合大学のトップにいます。東京工業大学は高度な専門性だけでなく、教養学を必修とする[…]

広島大学

自らの人生をデザインするための学び。100年後にも世界で光り輝く大学

「平和を希求する精神」「新たなる知の創造」「豊かな人間性を培う教育」「地域社会・国際社会との共存」「絶えざる自己変革」の5つの理念の下、12学部4研究科1研究院を擁する総合研究大学。教育力・研究力を両輪とした大学改革を推進しながら、グローバル人材を持続的に輩出[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。
記事内容等に関する問合せ・ご意見はこちらからお願いします。