お茶の水女子大学の三宅亮介講師と東京農工大学の村岡貴博准教授らの研究グループは、人工的にデザインしたペプチドを用いて、柔らかい小さな分子から、タンパク質に匹敵する巨大空間を作ることに成功した。

 タンパク質などの生体物質は、その構成要素であるペプチドの柔軟な骨格を通じて、人工物では難しい高度な環境応答性の機能を実現している。中でも、ペプチドが作り出す柔軟な空間構造は、正確な分子認識や効率的な物質輸送や貯蔵など、生体になくてはならない役割を担っている。したがって、柔軟な骨格により人工的に空間を形成することは重要な技術の一つだと考えられるが、柔らかいもので作られた空間は壊れやすく、柔軟な骨格を用いて、大きな構造を組み立てることは非常に困難だった。

 今回、同研究グループは、柔軟な骨格であっても網目状に組み合わせて安定化すれば、巨大な空間形成が可能になると着想し、金属配位結合と水素結合により柔らかい骨格の形状をコントロールすることで、非常に柔軟な構造を持つペプチド分子から、様々なサイズの空間構造を作ることに成功した。この構造は、全く同じ分子から、わずかな条件の違いを認識して10倍以上大きさの異なる数種類の空間形成が可能であった。

 この成果から、目的に応じて空間を自在にデザインすることも期待できる。それにより、これまで困難であった高い効率性や省エネルギー性を示す複合機能を持つ人工たんぱく質の創出への展開が期待できる。

論文情報:【Journal of the American Chemical Society】Formation of Giant and Small Cyclic Complexes from a Flexible Tripeptide Ligand Controlled by Metal Coordination and Hydrogen Bonds

お茶の水女子大学

社会をリードし時代を創る女性たちを育てる、国立総合女子大学。

お茶の水女子大学は、1875(明治8)年に東京女子師範学校が設立されたことに始まります。以降、学ぶ意欲を持って社会のために役立ちたいと望む女性たちのために、女子教育の先達として、道を切り拓いてきました。そして今も、広い知識と豊かな想像力を備え、豊かな未来を創造[…]

東京農工大学

農学、工学の視点から「持続発展可能な社会の実現」に向けた課題解決を目指す国立科学技術系大学。

東京農工大学は1949(昭和24)年に東京農林専門学校と東京繊維専門学校が統合して設立されました。しかし、その起源は明治7年(1874年)に設立された内務省農事修学場と蚕業試験掛にまでさかのぼります。現在では農学部と工学部からなる唯一の国立大学としてこれらの知[…]

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大学ジャーナルオンライン編集部

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