財務省が2015年10月の財政制度審議会で国立大学運営費交付金を削減したい考えを示したのに対し、各国立大の経営協議会学外委員らが反対の声明を相次いで発表していることが、国立大学協会(会長・里見進東北大総長)のまとめで分かりました。各大学とも交付金削減が大学改革の実現を危うくするなどとし、交付金の充実を求めています。
国立大学協会のまとめでは、2015年12月末までに声明を発表したのは、広島大学、京都大学、横浜国立大学など36校。広島大学は、2004年度の国立大学法人化以後、運営費交付金が42億円(14.5%)も減少し、このまま減少が続けば教員の削減などにより大学改革が困難になると訴えています。
京都大学は、運営費交付金を減額させようとする財務省の方針が国立大学に置かれた現状にあまりにも配慮を欠いていると反発。日本の高等教育に対する公財政支出の対GDPが0.7%と、OECD加盟国平均の半分に過ぎないと指摘、国立大学の機能強化に向けて拡充するよう求めました。
横浜国立大学は、個人寄付の増加が財政基盤の確立につながるとして国立大学法人に対する寄付の税額控除制度を導入し、私立大学と同様に個人寄付にかかる所得控除と税額控除の選択ができるよう求めています。
長岡技術科学大学は、運営費交付金の削減が学生の経済条件に左右されない進学機会を提供してきた国立大学の使命を果たせなくすると財務省の姿勢を強く批判しました。
参考:【国立大学協会】財政制度等審議会における財務省提案(H27.10.26)に対する各大学の経営協議会学外委員等による声明(1/4現在)