畿央大学大学院博士後期課程の重藤隼人氏と森岡周教授らの研究グループは、痛みの回復に「中枢性感作症候群の変化」が影響することを明らかにした。

 痛みの症状は、ひとによって回復度合いにバラつきがあり、場合によっては痛みが悪化することもある。本研究では、筋骨格系の痛みを有する患者を対象に“痛みの回復予測モデル”を作成し、予測に適合する症例と適合しない症例を分類して解析することで、痛みの回復に影響する要因を検証した。

 段階的な統計解析として、まず痛みの改善がみられた対象者のスコアに基づき痛み回復予測モデルを導出した。次に、このモデルを用いて算出した各対象者の痛み回復の予測値と実測値を基に、階層的クラスター分析を実施したところ、①痛みが悪化するクラスター、②痛みが予測よりも回復しないクラスター、③痛みが予測よりも回復するクラスターの3つに分類することができた。

 続いて、多重比較および決定木分析を用いて、各クラスターの特徴を抽出したところ、痛みが予測通りに回復しないクラスターの特徴として、「中枢感作症候群の改善度」が抽出された。つまり、中枢性感作症候群の改善度が、痛みのリハビリテーション予後を悪化させうることが判明した。

 中枢性感作は、心理的因子とともに痛みを修飾する1つの因子であることが知られていたが、今回、中枢性感作症候群スコアの変化量が全てのクラスター分類に関する予測変数として抽出されたことから、中枢性感作症候群の変化が痛みの回復に影響することが初めて示唆された。

 本グループは今後は、このような痛み関連因子の変化量と痛みの変化の検討を進め、患者のサブタイプ分類を行うことで、サブタイプに応じたアプローチを提唱する臨床研究を進めていくとしている。

論文情報:【Pain Research and Management】Central Sensitivity Is Associated with Poor Recovery of Pain: Prediction, Cluster, and Decision Tree Analyses

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大学ジャーナルオンライン編集部

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