日本の漁業従事者の減少・高齢化は深刻な問題だが、この要因の一つとされる人の手による高負荷作業を少しでも軽減するため、養殖網の清掃ロボットなど自動化が進められている。今後はさらに、水質管理や魚の生育チェックまですべてを担う、海中に常駐するロボット、いわゆる水中ドローンの開発が期待されている。

 ドローンは充電が必要な上、水中で収集したデータを回収する必要もある。また、重量増加も抑えなければならない。そこで今回、豊橋技術科学大学の研究チームは、給電ステーションを介した海中でのワイヤレス給電と情報通信を、軽量かつ省スペースで実現する新方式の送受電器を開発した。

 ワイヤレス給電の世界では、海水は非常に損失の大きな誘電体としてふるまう。一方、イオンが豊富な海水では高周波電流が流れることに着目し、本チームは、海水の導電性に注目した送受電器の等価回路から新たに動作理論を構築した。この理論をもとに、4枚の超薄型平板電極を用いた送受電器を設計し、試作・測定を行ったところ、海水中で1kWの電力を2cmの距離で送電しても給電効率90%以上という結果が得られた。これを用いた小型水中ドローンへの給電実験や、動画のリアルタイム通信にも成功した。ドローンに搭載する受電器と電力系回路は合計しても約270gと非常に軽量だという。

 本成果により、水中ドローンの運用効率が飛躍的に向上し、最終的には、陸上ですべてを管理できる水中ドローンシステムの開発につながることが期待される。

論文情報:【 IEEE Transaction on Microwave Theory and Techniques】Design of Conductive Coupler for Underwater Wireless Power and Data Transfer
【IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques】Design of a Capacitive Wireless Power Transfer System for Operation in Fresh Water

豊橋技術科学大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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