京都大学iPS細胞研究所の江藤浩之教授を中心とした研究グループが進める人工血小板の製造プロジェクトが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の経済安全保障重要技術育成プログラムの実施予定先に採択された。政府は2028年度までの実用化を目指している。
京都大学iPS細胞研究所によると、研究グループには京都大学のほか、東京慈恵会医科大学、千葉大学、山梨大学、精密機器大手のキヤノン、撹拌装置メーカーの佐竹マルチミクス、再生医療製品製造受託機関のMinaris Regenerative Medicineが参加している。
プロジェクト実施期間は2028年度までの5年間。iPS細胞から人工的に血小板を連続製造するシステムの確立と実用化を目指す。2024年度から2028年度までの予算は50億円となる。
血小板は止血をつかさどる血液成分で、現在は献血で得た血液から作られている。しかし、4日程度しか保存できず、人口減少が進む将来、献血量が減少して安定供給が困難になる不安もある。人工血小板を活用した止血剤は数カ月程度の備蓄が可能で、誰に投与しても拒絶反応が起きないように開発される。
政府は南海トラフ巨大地震や首都直下型地震など多数の負傷者が発生する大災害に備える一方、海外へ輸出する日本の目玉製品に育てることを視野に入れている。