早稲田大学・大学院、帝京大学の研究グループは、アスリートの瞬発力トレーニングで、ジャンプ種目は軽い負荷から重い負荷まで負荷を変えることで低速~高速の幅広い速度範囲の動きを鍛えられるが、ウエイトリフティング種目は重い負荷の時しか全力を出せず、やや低速の動きにのみ効果が期待されることを明らかにした。

 筋肉には、遅い動きでは大きな力を発揮できるが、速い動きでは大きな力を発揮できない「力-速度特性」がある。多くのスポーツでは、静止状態からの加速や最大速度での運動など、異なる速度条件下での高い力発揮が求められ、トレーニングは向上させたい動作速度に対応した速度領域で行う必要がある。

 研究では、ウエイトリフティングの主要種目である、「キャッチ動作」があるハングリーンと「キャッチ動作」がないハングクリーンプルが、下肢の力–速度特性のどの速度域に効果を発揮するのかを、着地衝撃を緩和する特殊な安全装置を使ったジャンプスクワットと比較した。
 
 その結果、ハングクリーンは1RM(選手が持ち上げられる最大重量)の60%以上、ハングクリーンプルは1RMの40%以上の中~重負荷で最大の力を発揮できた。一方、それよりも軽い負荷では、ジャンプスクワットのように身体とバーベルを空中に放り出せないため、力や速度の発揮が抑制される傾向があった。つまり、ハングクリーンやハングクリーンプルは「低~中速度域」へ効果的に作用し、「高速度域」に対しては十分なトレーング刺激を与えない可能性があることが判明した。

 今回の結果は、競技特性に応じた最適な組み合わせでトレーニングを行う際の具体的なガイドラインとなり得る新たな知見を与えるものとしている。

論文情報:【Scientific Reports】Portions of the force–velocity relationship targeted by weightlifting exercises

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