専門科目を意義あるものにするための「学習基盤科目」

 「学習基盤科目」とは、学生の積極的かつ自律的、自立的な学習態度を育て、専門科目の学習基盤となる知識を身に付けさせる科目だ。本学では「スタディスキルズ」、「日本語リテラシー」、「学修と実工学」を開講している。

 「スタディスキルズ」では、講義を聞き、教科書を読んで理解し、資料から必要な情報を読み取り、レポートを書く、という大学で必要な日本語力を身に付ける。「日本語リテラシー」では、文章を書く技術と日本語の知識を学び、文章作成の課題に取り組む。「学修と実工学」では“話し合い作りながら考える”、“自分の手で作ったものを発表する”など課題を通じてコミュニケーションカを向上させる。

 例えば、私が担当した「学修と実工学」では、学生が高校と大学での「学びの違い」を理解し、本大学のポリシーである「実工学教育」へとスムーズに進むことがねらいだ。教室内外でのグループワークや学修によって実工学への関心を高め、優れたプロジェクトリーダーとしての思考力やものづくりの基本となる技術を修得する。

 授業は、自律性や自立性を高める予習重視型の演習授業とし、次回の授業準備や授業後に行う疑問点などを調べるポートフォリオ整理など時間外の学修も重視する。またアクティブラーニングによる「調べる・まとめる・討議する・発表する」を基本に、ペアワークやグループワーク、クラスワーク、プレゼンテーションを行いコミュニケーション能力の向上を図っている。


 毎回のテーマには、自分の特性を知って仲間を理解する「コミュニケーションカの向上」、興味を高めて自分の手でつくる「ものづくり演習」、グループワークでは、AIやIoT活用を話し合い発表する「先端技術に学ぶ」やものづくりの達人に関する調査発表から専門分野を考える「日本のものづくり」、企業の事故事例から概要把握と問題点を考える「安全教育・工学倫理・企業倫理」などがあり、授業によってはLTD(Learning Through Discussion)学習法も導入している。つねに「ものづくり」をキーワードとして専門教科の学びへと「つなぐ」授業設計を行い、予習や復習の習慣をつけ、自主的に学ぶ学習観の転換に繋げているのが特徴だ。

 実際に受講した学生アンケート(2018年度春学期、受講生518名中回答403名)では、84%の学生が「(授業を通じて)成長した」と回答するなど一定の効果を見せている。こうした初年度の基礎の積み重ねこそが、4年間の大学生活を有意義にすると言えるだろう。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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