2021年度入試の総合型選抜、学校推薦型選抜の面接試験をオンラインで行う大学が増えています。今年は大学の授業もほぼ全てがオンラインで行われており、ビジネスの現場でも4月以降はテレビ会議が一般的です。このように大人の立場で見れば、オンライン面接は当然の帰結ですが、入学者選抜の場面では通常とは勝手が違い、いつものテレビ会議のようにはいかないこともあるでしょう。一方の受験生もLINEのビデオ通話で友達と会話することと同じ程度と考えていると大失敗する可能性があります。今年の受験生は、面接対策だけではなく、それに加えて、通信環境の整備や操作マニュアルの理解など、例年よりも負担が重いと考えた方が良いでしょう。

 

受験生は事前にオンライン会議サービスの操作に慣れておく

 テレビ会議サービスで、現在のところ、最もよく利用されているのは、Zoomでしょう。ビジネスの現場では、Microsoft Teams、Cisco Webex Meetingsもよく利用されています。この他、Google MeetやAmazon Chimeなどもありますが、大学のオンライン面接は、多くがZoomで行われることになりそうです。オンライン面接を受ける受験生は、試験当日に慌てないようにテレビ会議の画面や操作に慣れておくことが必要です。総合型選抜などでプレゼンテーションを求められる場合には、パワーポイントや自身の作品の写真や映像などを手際よく画面共有できると、落ち着いて実力を発揮することができるでしょう。

 どのテレビ会議サービスも、画面や操作に大きな違いはなく、自分の音声オフ(ミュート)、自分のカメラオフ、画面共有など基本操作のアイコンも似ているので、何回か使ってみるとすぐに慣れるでしょう。本当は全ての大学が同じテレビ会議サービスにしてくれると受験する側の負担も軽くなるのですが、大学によって対応が異なりますので、受験生側がそれに合わせるほかはありません。基本的に行うことは、LINEのビデオ通話と同じですが、入学者選抜のための試験ですので、友達の通話とは異なり様々な制約があります。

 例えば、通常のテレビ会議はパソコンの画面同士で行います。そのため、オンライン面接を行う大学側は当然、受験生もパソコンかタブレット端末で受験することを想定しています。入試要項ではスマートフォンでも可能となっている大学もありますが、試験中に電話が入ったり、メッセージが届いて着信音が頻繁に鳴ったりすると、明らかに心証は悪くなります。面接試験の途中で通信量制限の上限に達してしまうなども想定されるトラブルです。また、マイク付きイヤホンやヘッドセットは必須アイテムなので、持っていなければ購入するなどの準備が必要です。

 

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神戸 悟(教育ジャーナリスト)

教育ジャーナリスト/大学入試ライター・リサーチャー
1985年、河合塾入職後、20年以上にわたり、大学入試情報の収集・発信業務に従事、月刊誌「Guideline」の編集も担当。
2007年に河合塾を退職後、都内大学で合否判定や入試制度設計などの入試業務に従事し、学生募集広報業務も担当。
2015年に大学を退職後、朝日新聞出版「大学ランキング」、河合塾「Guideline」などでライター、エディターを務め、日本経済新聞、毎日新聞系の媒体などにも寄稿。その後、国立研究開発法人を経て、2016年より大学の様々な課題を支援するコンサルティングを行っている。KEIアドバンス(河合塾グループ)で入試データを活用したシミュレーションや市場動向調査等を行うほか、将来構想・中期計画策定、新学部設置、入試制度設計の支援なども行なっている。
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