11月14日、関東最大級の大学生プレゼンテーション発表会、第61回インナー大会東洋大学大会の本選が開催された。132チーム、参加学生653名の頂点を決める大会だ。
各大学のゼミを中心としたチームで、課題設定、実践、効果検証まで含めて、大学教員や実務家を審査員に迎えて発表する。

 インナー大会は、日本学生経済ゼミナール関東部会が他大学との交流を深める目的で1960年 に設立、現在は1000人を超す学生が参加する関東最大規模の学術発表会として活動を続けている。
今大会より、運営全般を学生自身が担い、名実ともに「学生の学生による学生のため大会」となった。
各チームのプレゼンテーションの持ち時間は約15分、質疑応答10分を含めても30分弱という時間の中で、いかに相手に魅力的、かつ的確に伝えるか、それぞれのチームが知恵を絞った。

 第61回となる今大会のコンセプトは「漸進」。コロナ禍によって、さまざまな制約の中でも、興味、関心を追求し、一歩ずつ前進していこうという主催側の想いが込められている。今大会は、予選からすべてオンラインでプレゼンテーション、審査が行われた。前大会は動画形式でのオンラインであったが、今年度大会はライブ開催となり、コロナ禍でのアップデートも見られた。

 10月から始まった予選を勝ち抜き本選に参加する12チームは、テーマ設定も多様で、構えることなく自分たちの身近にある課題にフォーカスし、大学生ならではの視点で取り組んだ様子が伺えた。

 審査は、1.着眼点、2.論理的思考力、3.情報活用力、4.プレゼン力、5.質問対応力のポイントで評価。審査員には、島田昌和氏(文京学院大学)、伊井哲郎氏(コモンズ投信株式会社)、武田雅子氏(カルビー株式会社)、高橋史子氏(リンクトイン・ジャパン株式会社)、山崎丁巳生氏(アクセンチュア株式会社)、深澤晶久氏(実践女子大学)と、第一線で活躍するビジネスパーソンが顔を揃える。

 最優秀賞の横浜市立大学 柴田ゼミ「Pickle」は、若者を中心とした魚食離れという社会的な課題に着目。地元の鮮魚卸会社と共創し、ブランディングとSDGsの食品ロスの削減も視野に入れた商品開発を行った。マーケティングの基本に則ったお手本ともいうべきアプローチは目を見張るものがあった。プレゼンテーションもデザイン面や視覚的効果にこだわり、ビジネスモデルとして、他の企業にも応用、実施できる完成度の高い内容をみせてくれた。

 

【写真:横浜市立大学 柴田ゼミ】

 

受賞コメント:
初出場ながら最優秀賞という名誉ある賞をいただき、大変光栄に存じます。
多大なるご協力をいただいた横濱屋本舗の方々、熱心にご指導くださった柴田典子先生や先輩方、全ての関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
丁寧な調査・分析に基づく論理的な提案を心掛け、徹底的に議論を重ねながら実践しました。全員楽しんで活動できたことが今回の受賞につながったと感じています。
頂いた評価に恥じぬよう、さらに精進してまいります。

 優秀賞の、文京学院大学 渡辺ゼミ「7期日本語チーム」は、子宮頸がんというテーマに取り組んだ。注目すべきは、男性向けに子宮頸がんへの理解促進のためセミナーを開催したことである。女性特有の疾病でありながら、男女どちらも発症の原因となり得ることが、まだ広くは知られていないことに着目した。おりしもこのプレゼンは子宮頸がんワクチンの積極的勧奨再開の報道直後であった。彼らが課題とした「学生時代に子宮頸がんについての正しい知識を得る機会の創出」は、今後、進化し引き継がれていくことを望みたい。

 

【写真:文京学院大学 渡辺ゼミ】

 

受賞コメント:
私達は、お互いの顔も名前も知らないまま、2月から「子宮頸がん」をテーマにチームでインナー大会に向けて活動を始めました。外国語学部所属の私たちが、医学的知識が必要なこのテーマで活動することは簡単な道のりではありませんでした。何度も挫折し、メンバー同士で意見のぶつかり合いもありましたが、最優秀賞を勝ち取るという同じ目標に向かって活動に励みました。結果は、惜しくも優秀賞でしたが、この経験は一生忘れられないものとなりました。

 審査員賞を受賞した駒澤大学 各務ゼミ「耳守り隊」は、自らの世代の問題、イヤホンが当たり前の若者ならではの大音量で聴くことによる「音響性難聴」をテーマとした。コロナ禍のオンラインの加速によってこの問題はさらに課題感を増している。そして「難聴」が「認知症」の因子となる事実から世代を超えた社会課題としてとらえ若者に向けた予防策を提案、また分析の過程で、政治家、該当団体へアプローチするなど、実現性をもって取り組んだことが評価された。

 

【写真:駒澤大学 GMS学部 各務ゼミ 耳守り隊】

 

受賞者コメント:
この度は、第61回日本学生経済ゼミナール関東部会にて榮譽ある審査員賞をいただき大変光栄に存じます。まずは第61回大会を大成功に導いて下さった東洋大学実行委員会の皆様、審査員の先生方に心より感謝申し上げます。私たちは社会課題として『若年層の音響性難聴リスク』に注目し、それを防ぐべく啓蒙活動を続けてきました。一人でも多くの若者が難聴リスクに気付くことを願い、今後も活動を継続する所存です。約一年間、集中して取り組んだ成果をご評価いただき嬉しい限りです。ありがとうございました。

●本選参加チーム
中央大学 後藤ゼミ「航空チーム」
文京学院大学 渡辺ゼミ「7期日本語チーム」
文京学院大学 新田ゼミ「CMG’」
東洋大学 竹内ゼミ「ポンテギ」
高崎経済大学 佐藤ゼミ「たかPARK調査隊」
横浜市立大学 柴田ゼミ「Pickle]
創価大学 安田ゼミ「Ray」
駒澤大学 各務ゼミ「耳守り隊」
創価大学 安田ゼミ「轍」
日本大学 秋川ゼミ「宅配班」
駒澤大学 松田ゼミ「Aチーム」
東洋大学 竹内ゼミ「ペリドット」

 今回の全日程を終えて、第61回インナー大会 プレゼンテーション部門 局長 伊藤 颯斗(東洋大学 経営学部 3年)さんは、
「無事に全ての日程を終えられましたことを、全ての関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。今年度大会は大会史上初となるオンライン会場でのリアルタイム、プレゼンテーション形式での開催となりましたが、132チーム・653名と非常に多くの方々に参加いただき、例年以上にレベルの高い発表をそろえていただきました。運営にあたりましては、不行届きの点もあったかと存じますが、何卒、ご寛容くださいますようお願い申し上げます。」
と大任を果たし安堵の表情だ。

 

【写真:インナー大会実行委員会】

 

また、審査委員長を務めた実践女子大学の深澤 晶久教授からは以下のようなコメントが寄せられた。

 

【写真:第61回インナー大会 プレゼンテーション部門 局長 伊藤 颯斗(東洋大学 経営学部 3年)さん】

 

「本年度は、新たなインナー大会の幕開けとも言える記念すべきものとなりました。参加いただいた多くのチームの皆さん、そして審査委員の皆さん、そして何より、オンライン開催という様々な制約のある中で、見事に大会を成功裡に導いて下さった伊藤局長をはじめとする実行委員の皆さん、そして準備のためにご尽力いただいた文京学院大学理事長の島田昌和先生など、この大会に関わっていただいた全ての皆様に心から感謝申し上げます。私は今まで14回にわたって審査員を務めさせていただきましたが、年々、参加チームのレベルが高度化し、学生の皆さんの大いなるポテンシャルを感じます。学生の皆さんがさらに成長され、インナー大会がさらに発展することを心から期待したいと思います。関係各位におかれましては、これからもご支援のほど、よろしくお願いいたします。」

 

【写真:審査委員長 実践女子大学 深澤 晶久教授】

 

終日にわたる発表も、終わってみればあっという間だったという審査員の言葉通り、受賞チーム以外のテーマも多様性に富み、マーケティング、社会的課題としても意義ある内容だったことが印象に残った大会だった。

 

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