2022年度から、メディア社会学科と国際コミュニケーション学科の2学科体制となった東京経済大学コミュニケーション学部。ここでは、それぞれの学科の特徴や今後の展望について紹介します。

 

 

従来の3コース制を2学科体制に発展改組し、新たな学びを展開

人と人、企業、組織などの間で交わされるコミュニケーション活動を研究対象とし、現代のコミュニケーション環境における課題を発見し、解決のための創造的な構想を示せる人材を育てることを教育目的とする東京経済大学コミュニケーション学部。「コミュニケーションの力で、シャカイとセカイにトケコム」をキーワードに、“TOKECOM(トケコム)”という愛称で知られる。

これまで同学部は、コミュニケーション学科の1学科内に「メディア」「企業」「グローバル」の3つのコースを設置していたが、従来の「メディア」コースと「企業」コースを再編し、「メディア社会学科」を設置。「グローバル」コースを発展改組し、新たに「国際コミュニケーション学科」を設置した。

 メディア社会学科では、インターネットを軸としたマスメディアやソーシャルメディアなどの急速な進化のなかで、個々のメディアを使いこなす力や分析力、表現力を鍛える。家族や友人間はもちろん、ビジネス上のやり取りにも、メールやLINE等のツールが利用され、さまざまなメディアが日常にとけ込んだ現代。企業の広告・広報においても、マスメディアだけでなくソーシャルメディアが活用されるなど、コミュニケーションのあり方は多様化している。

そうした昨今のメディアをめぐる社会環境を的確に理解・探究することが、メディア社会学科のめざすところであり、これを実現するカリキュラムが展開される。具体的には、各メディアの特性を踏まえた広告・広報のあり方、情報分析の仕組み、利用者の心理などへの理解を深めるための講義科目とワークショップ科目(少人数の実習科目)が開講される。

 一方、国際コミュニケーション学科では、グローバル化が進む現代社会を、ヒト・モノ・コトが国境を越えて移動する「移動/モビリティ」の観点から考察する。日本で暮らしていても自分とは異なる考え方や習慣をルーツにもつ人と出会う現代。異文化体験や語学科目等を通じて、異なる言語・文化圏で育った人たちと協同するための英語運用能力や異文化対応能力を鍛えていく。

具体的には、1~3年次に独自の英語科目があるほか、異文化マネジメントや観光ビジネス、英米文学など幅広い領域の学びが得られるカリキュラムを展開。必修科目「異文化理解」ではフィリピンや台湾、カナダなどで語学研修や就業体験を行う(カリキュラムは新型コロナウイルス感染症の状況を見極めて実施の可否を判断)。

 なお、2学科の学生は、関心に応じてもう一方の学科のゼミやワークショップ科目などを履修することが可能。メディア社会学科の学生がゼミで英語の文献購読をしたり、国際コミュニケーション学科の学生が情報分析力を鍛えたりすることが可能となっている。

 

現状を的確に見つめ、分析する力を4年間で養う

 

コミュニケーション学部全体の特徴として挙げられるのは、実践的な知力の重視である。そのポイントとしては、

【1】アウトプットを重視する自由度の高いカリキュラム
【2】少人数のワークショップ科目や『ゼミ』では学生が主人公
【3】両学科にまたがる科目で多様な学生と刺激し合える環境

 以上3点が挙げられ、【1】の集大成が卒業研究となっている。研究の完成に必要となる情報探索力やメディアリテラシー、エビデンスに基づいた分析力や研究内容を伝えるプレゼン力などについては、【2】に挙げられている少人数のゼミやワークショップ科目を中心に実践的に鍛えていく。学生主導で行うワークショップやゼミの参加はもちろん、両学科にまたがる科目も数多く設置されていることから、【3】にあるように、学科ごとに少しずつ関心の異なるさまざまな学生と出会い、刺激し合える4年間を過ごすことができるはずだ。

 現代の社会は、親の世代をモデルにしづらい社会へと変動しつつあり、学生たちは先例のないなかで生き方を模索しなければならない。だからこそ、現状を的確に見つめ、分析する力が必要であり、そのひとつの方法として、身近な「メディア」「国際」を一歩ひいた視点から思考していく学びを、新たな2学科体制では展開していく。

 このような学びをとおして、世の中の変化に翻弄されることなく、主体的に未来を切りひらく力を身につけた学生たち。その卒業後の進路としては、広告、広報・PR・マーケティング、出版・編集、旅行、ホテル、エアライン、インターネットサービスなど、多様な職種で活躍することが期待されている。

 

東京経済大学

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