徳島大学と京都府立医科大学の研究で、カレー粉の成分であるクルクミンが、前がん病変である大腸腺腫(ポリープ)のうち、比較的大きな腺腫の発生リスクを低下させることがわかった。
インドでは古くから大腸がんの罹患率が低く、カレー粉の黄色成分として知られるクルクミンによる発がん抑制作用との関連が示唆されている。しかし、これまでクルクミンの抗腫瘍効果を検証する大規模なランダム化比較試験は実施されていなかった。
本研究では、通常のクルクミンより吸収性を高めた高吸収型クルクミン「セラクルミン®」を用いて、全国26施設が参加する2年間の大規模二重盲検ランダム化比較試験を実施した。大腸がんの多くは大腸腺腫を経て発生するが、腺腫の摘除後に新たな腺腫が発生することが問題となっている。そこで、腺腫をあらかじめ摘除した患者約600人を対象に、「セラクルミン®」を摂取する群とプラセボを摂取する群に無作為に割り付け、新たな大腸腺腫の発生を抑制する効果を検証した。
その結果、2年後の大腸腺腫全体の発生率には有意差がなかったが、内視鏡的摘除の対象となる6mm以上の大きな腺腫の発生率は、プラセボ群の13.3%に対し、クルクミン群では7.5%と有意に低く、発生リスクが約44%減少した。さらに、6mm以上の腺腫の発生個数もクルクミン群で有意に少なく、発生した腺腫全体の大きさも有意に小さかった。これらの結果から、クルクミンは腺腫の発生そのものを完全に防ぐというよりも、将来のがん化リスクと関連する腺腫の増大や進展を抑制する可能性が示された。
加えて、過去に摘除された大腸腺腫の数が多い患者ほど、クルクミンによる腺腫の再発抑制効果が高くなる傾向がみられた。このことから、大腸腺腫を繰り返し発生する高リスク患者ほど、クルクミンがより有効である可能性も示された。なお、クルクミン投与による有害事象(副作用)の増加は認められず、良好な安全性が確認されたとしている。
今後、クルクミンの大腸がん予防効果の可能性を検証することによって、安全で新しい大腸がん予防法の開発につながることが期待される。
