横浜市立大学大学院の原広司准教授らの研究グループは、横浜市在住の結婚・子育て世代1万世帯を対象とした大規模アンケート調査(ハマスタディ)により、生活時間の理想と現実のギャップや小児医療費助成の満足度の変化などを明らかにした。

 ハマスタディとは「家庭と子育てに関するコホート研究」の通称。2023年1月にWave1(1年目の調査)を実施・報告。今回はWave2(2年目の調査)で、横浜市在住の結婚・子育て世代(妻が20歳~39歳)1万世帯の夫婦2万人を対象に、2024年1月から調査票を送付・回収した。

 その結果、こども(末子)が0歳のとき、妻の平日の育児時間は理想よりも3時間以上長く、こどもの年齢上昇につれて理想と現実のギャップは小さくなるが、小学校入学後に再び増加する傾向がみられ、こどもの預け先がなくなるいわゆる「小1の壁」の影響が示唆された。夫はこどもの年齢に関わらず、理想よりも0.5~0.9時間短く、育児時間を確保したくてもできない状況が明らかになった。

 また、こどもが0歳のとき、妻の平日の労働時間は理想より1.8時間短く、こどもが1歳になっても0.8時間短かかった。夫はこどもの年齢に関係なく理想の労働時間より1.2~1.9時間長く、夫の長時間労働が育児時間の確保を妨げている要因の一つと考えられる。

 家事時間では、妻の家事時間は全体的に理想よりも0.5~1.1時間長く、夫の家事時間は理想よりも0.1~0.4時間短い傾向にあった。

 小児医療費助成の満足度は、前年度調査(2023年1月実施)より大幅に上昇した(27.6ポイント増加)。2023年8月に横浜市の小児医療費の無償化が実施され、家庭内のこども数に関わらず、幅広い子育て世帯の満足度を押し上げる結果となった。

参考:【横浜市立大学】子育て世代の育児・家事・労働時間の理想と現実のギャップが明らかになりました

大学ジャーナルオンライン編集部

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