京都大学の三宅正裕医学研究科特定助教らの研究グループは、9,850人の日本人データを解析し、コーヒーをよく飲んでいる人ほど眼圧が低いことを発見した。ただし、コーヒーを飲むことによって眼圧が下がるのかはわかっておらず、緑内障の治療や予防の目的でコーヒーを摂取することを推奨するものではないという。

 日本人は、アメリカ、ブラジル、ドイツに次いで世界第4位のコーヒー消費量を誇る。近年の研究では、コーヒーをよく飲んでいる人の方が、糖尿病や心血管疾患、肝硬変、いくつかの癌や認知症になりにくく、死亡率も低いという結果が出るなど、習慣的なコーヒー摂取が健康に良い影響を与える場合が多いことが分かってきた。一方、コーヒーと眼の関係についての研究は多くなく、コーヒーが眼にいいのかどうか、結論は出ていない。

 そこで、三宅助教らの研究グループは、緑内障発症 ・進行の危険因子である 「眼圧」とコーヒーの関係に着目。緑内障は視野が欠けていく病気で、日本人では40歳以上の20人に1人が緑内障と言われている。進行すると視力も低下するため、現在は日本人の視覚障害の原因第1位となっている。これまで、コーヒー摂取と緑内障の関係を調べた報告はいくつかあるが、眼圧との関係を大規模なコホートで調べた研究はほとんどなかった。

 研究では、京都大学附属ゲノム医学センターが滋賀県長浜市と共同で実施する「ながはま0次予防コホート事業(長浜スタディ)」の9,850人のデータを用いて、習慣的なコーヒー摂取量と眼圧との関係を調べた。コーヒー摂取頻度と眼圧の関連解析を行ったところ、緑内障と指摘されたことがない人では、眼圧に関わる様々な因子 (年齢、性別、角膜厚など)で補正しても、習慣的なコーヒー摂取頻度が高いほど眼圧が低いことが確認された。具体的には、1日3杯以上飲む人は、1日1杯未満の人に比べ眼圧が約0.4mmHg低かった。今回の研究の参加者全体の平均眼圧が14.7mmHgであり、その約3%に相当する。

 なお、緑内障と指摘されたことがある人とない人とで比べた場合は、コーヒー摂取頻度に明らかな差は見られず、コーヒー摂取と緑内障の関連は不明確だった。特殊な病型の緑内障には、コーヒー摂取を推奨しないという報告や、妊婦はコーヒーで低出生児のリスクが高まるという報告もあるため、注意が必要だ。

 今回の研究で、習慣的なコーヒー摂取頻度が高いほど眼圧が低いことが示されたが、緑内障の予防や治療目的でコーヒーを摂取することを推奨するものではない。今後、臨床的および実験的な裏付けが強く期待される。

論文情報:【Ophthalmology Glaucoma】Relationship between intraocular pressure and coffee consumption in a Japanese population without glaucoma: The Nagahama study

京都大学

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