岡山大学の相川紗英大学院生らの研究グループは、地球の自転と同じ「約24時間」の正しいリズムを持つハエは、リズムが狂ったハエよりも、生き残り競争で圧倒的に有利であることを突き止めた。
人間など多くの動物には、睡眠や目覚めのリズムを作る「体内時計」の司令塔が脳の中にある。しかし、「約24時間のリズムが、本当に生き残るために大切なのか」は十分に明らかにされていなかった。
そこで研究グループは、体内時計の神経の遺伝子を変えて、1日のリズムが「約18時間」と「約27時間」のショウジョウバエを作った。リズムが異常なハエと正常なハエを一緒に飼い、1年間・27世代にわたって10万匹以上のハエの生き残り競争を追跡した。
その結果、1日のリズムが地球の24時間からズレてしまったハエは、世代交代をくり返すサバイバルの中で、徐々に姿を消していくことが分かった。
ショウジョウバエは、光を浴び続けると、正常なハエも含めて体内時計が「ストップ」する。そこで、常に明るい場所で飼育する実験を行った結果、時計が全員ストップした環境では、リズムが狂っていたハエたちも全く脱落しなくなり、サバイバルに影響はなかった。
この結果から、ハエたちがサバイバルに負けたのは、「地球の24時間と体内時計のリズムがズレていた(ミスマッチしていた)から」だと証明できた。さらに、リズムが狂ったハエは、交尾のペアを見つけるタイミングがズレてしまい、残せる子孫の数が少なくなっていることも分かった。
研究グループは、人間の場合にも、体内時計のリズムと学校や仕事などの社会的な時間のズレ(ミスマッチ)が、体や生活に目に見えない悪影響を与えている可能性があると述べている。
論文情報:【iScience】Brain circadian clock neurons drive fitness advantages in Drosophila
