文部科学省は次の感染症パンデミック(世界的大流行)に備えた国産ワクチン開発拠点に東京大学、北海道大学、大阪大学などを選んだ。新型コロナウイルスのワクチン開発で米英に大きな後れを取り、海外製薬企業の製品に依存せざるを得なかったことを反省し、緊急時に国産ワクチンや治療薬を迅速に開発できる体制を整える。
文科省によると、拠点整備は2021年に閣議決定された国家戦略に基づいて進め、国が整備した515億円の基金から最長10年間の投資をする。各拠点が製薬企業と連携して基礎研究、応用研究を平時から継続し、ワクチンやウイルス研究者の育成も行う。
中核となって主導的役割を果たすフラッグシップ拠点には東京大学が選ばれ、次世代感染症センターを設置して世界的ウイルス研究者の河岡義裕医科学研究所特任教授が拠点長に就任する。フラッグシップ拠点と連携して新たな研究成果を創出するシナジー拠点には、北海道大学、千葉大学、大阪大学、長崎大学が選ばれた。
実験動物の開発や免疫、ゲノム解析を進めるサポート機関には、実験動物中央研究所、滋賀医科大学、医薬基盤・健康・栄養研究所、京都大学、理化学研究所、東京大学が選定されている。
政府は新型コロナの感染拡大当初、国産ウイルスの開発に強く期待していたが、開発が米英に後れを取り、輸入ワクチンに依存する結果となった。