11月30日、帝京大学八王子キャンパスにおいて、リニューアルされた心理学教育・研究施設の内覧会が開催された。

 帝京大学に心理学科が誕生したのは、1988年。約30年の心理学教育を経て、新しい30年に向けてスタートが切った。発見を育て、論理的思考で未来社会を力強く歩む学生の育成をめざし、リニューアルされた八王子キャンパスの真新しい研究施設は、6階から8階までの3フロアにわたり、白を基調にした開放感のあるつくりが印象的で、下級生が上級生の学ぶ姿を見ながら過ごせるオープンな環境になっている。

 内覧会の冒頭、冲永佳史理事長・学長より、悩みを抱える人が多い現代において、人が健康に生きるための心理学的側面からのアプローチの重要性、そして実社会で役立つ心理学教育を進めていくためと、今回のリニューアルの経緯が話された。

 6階の実習フロアには、講義やゼミを行う演習室をはじめ、カウンセリングルームや心理療法実習室がある。演習室は壁一面がホワイトボードになっており、発表資料を写したり書き込みもできる仕様。実習室には、箱庭療法の際にクライエントがさまざまな心理状態を表現できるように3つの箱庭を揃え、異なる砂も用意されている。

 また、プレイルームや心理療法実習室を併設した行動観察分析室は、マジックミラーを通してプレイルームで遊ぶ子どもを観察したり、さまざまな角度から行動を撮影できるカメラやマイクで、データを収集し分析することができる。

 7階の実習室・研究フロアにある認知科学実験室は、11の暗室が中央の共有スペースを囲むように配置されており、防音完備で温度調節もできる各暗室では、外的環境に影響されることなく一定の条件下で人間の知覚、認知、行動を調べることができる。

 内覧会時には、体温と心の状態を探る最新のサーモグラフィや、聴覚の錯覚を使った無限音階などのデモンストレーションも学生の手によって行われていた。

 同じフロアにある厚い扉のシールドルームを備えた脳機能測定室は、心理学には欠かすことのできない、心の神経基盤である脳を研究するための部屋で、脳波や様々な生理指標を計測したり、シールドルームによって微弱な脳波の信号を捉えた計測もでき、精度の高いデータを収集することができる。

 その他の実験室にも、「脳情報通信融合研究センター」との共同研究により開発した視線同期型視野移動システムや、バーチャルリアリティなどの最新の機器を装備して、学生の柔軟な発想を活かし、様々な実験や計測によって研究が進められるようになっている。

 8階には、複数の心理調査実習室と、学生の教育・研究をサポートする支援室が設けられている。ここには公認心理師等資格実習支援室もあり、資格取得のためのサポートも充実している。

 2017年から施行された国家資格である公認心理師。帝京大学では、決められた科目を履修し、他の要件を満たすことで受験資格の取得ができ、その他にも、臨床心理士、臨床発達心理士等の受験資格を得るための学内外での実習もサポートしている。

 心理学の領域は医療や福祉に留まらず、感性評価やAIなど多岐にわたっている。今や社会の中で、人間が関するものほぼすべてといっても過言ではない。それに伴い、卒業後の進路や活躍の場も広がりをみせている。

 新しい30年に向け、カリキュラムも一新した帝京大学の心理学科では、1年次に、心理学の概論を徹底して行う手厚い指導を自負。その上で、3年次には「基礎心理領域」「社会心理領域」「実践発達領域」「臨床実践領域」の4つから興味ある領域を選び、4年次にはそれぞれの道を歩んでいける設計にしている。「一部の学生しか育たない競争原理に基づいたやり方ではなく、発見を育て、興味あることを見つけ出して、個性を育てていきたい。心理学教育で未来をつくる。そういう気持ちで今回、研究施設を最新化しました」と話す早川友恵学科長。選ばれる心理学科を目指し、新たにスタートした帝京大学・心理学科のこれからが期待される。

 

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大学ジャーナルオンライン編集部

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