8月26日、千葉商科大学でZoom配信による記者公開型FD(ファカルティーディベロップメント)「春学期の遠隔授業の振り返りと遠隔授業の可能性」が行われました。FDとは、教員が適切な授業内容や方法の改善、向上のため組織的に行う活動です。学生への授業評価アンケートや授業方法の研究会など手法はさまざまですが、通常は非公開で実施されるため、今回は珍しい試みと言えます。

 

春学期の振り返りを秋学期の遠隔授業に活かす

 千葉商科大学では、新型コロナウイルス対策として2020年度春学期をすべて遠隔授業で行ってきました。10月からの秋学期も、感染者数再増加の傾向から、ゼミナール等の一部の科目は面接授業(通学)で実施し、その他の科目は遠隔授業で実施することが決定しています。

 そこで夏期休暇中に、教員一同で「秋学期の遠隔授業の教育のさらなる質の向上」と「学生の能動的な学修を促すICTツールを活用した教育の方法の検討」を進めるべく、学生アンケートの結果報告・分析、春学期の遠隔授業の事例紹介によるFDを実施したとのことでした。

 

「学生アンケートの結果と分析」に見る遠隔授業の評価

 教務課からは、学生アンケート2項目の結果が報告されました。項目1は、学生の授業環境と各授業方式の満足度や困りごとを調査した「春学期の遠隔授業全体について」で、回答率は1年生91.7%・2年生以上66.8%、項目2が遠隔授業用の設問で行われた学期末の「授業評価アンケート」、回答率は全学年で58%となりました。

 特筆すべき結果に、項目1での遠隔授業の実施状況と満足度があります。例えば、A(文字資料配信)、B(音声配信)、C(動画配信)、D(リアルタイム配信)と4方式の比較では、Bが最も多く、Cが最も少ない数ですが、方式の評価では最もよかったのがCでした。


 

 各方式に差はあるものの、全方式平均では70.9%が肯定的な回答をしています。自由記述の理由としては、よかったものに「わかるまで何回でも資料を確認できる」など、悪かったものには方式共通で「課題の多さ」などが挙がっていました。
また項目2の「授業評価アンケート」では、遠隔授業中心の春学期ながら全科目平均で満足度は88.34%という数値に。昨年度同時期の90.61%と大差なく、高い評価が得られたようです。

 同大学では、この結果を遠隔授業実施要領に反映するほか、情報システムのメンバーを中心に講義形式ごと・方式ごとの留意点をまとめて教員に配信しているとのこと。加えて、学生からの代表的な質問の共有とともに、初回授業時の留意点やスマホ受講生の課題提出への配慮なども含めた教務視点での提言が行われていました。

 

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大学ジャーナルオンライン編集部

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