工学系大学教育の改革方針を議論している文部科学省の有識者会議は、学部と大学院の6年一貫制や主専攻、副専攻制の導入などを求める中間報告をまとめた。産業構造の急速な変化に対応し、新しい技術分野を先導する人材を養成するとともに、次の時代の技術を生み出し、技術革新に適応していく人材を育てていくべきとしている。

 中間報告では、ビッグデータや人工知能など情報関連の技術が急激な進歩を遂げる中、国内の工学系学部は明治時代からの1分野を深く学ぶ体制のままで、幅広く構造変化に対応するというより、専門分野の研究を深化させる方向へ進んでいると分析し、社会の要請に応えられていないとした。

 学生が専門分野だけでなく、情報関連など幅広い知識を学ぶことが必要として、年次区分を柔軟にできる6年一貫制や博士課程まで含めた9年一貫制、主専攻、副専攻制の導入などを提案した。

 さらに、現在の情報関連技術の進歩に対応するため、非情報関連分野の学生に対しても工学共通基礎教育に情報関連分野をより多く採り入れる必要があるとした。学科や専攻の定員見直しや学部、大学院への学位プログラム制度の導入により、社会の変化に対応できるよう柔軟に対応し、学生が主体的に学べる環境づくりの推進も欠かせないと提言している。

参考:【文部科学省】資料2「大学における工学系教育の在り方について(中間まとめ)(案)」

大学ジャーナルオンライン編集部

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