立命館大学スポーツ健康科学部田畑泉教授らの研究グループは、タバタ・トレーニングとして知られる高強度・短時間・間欠的運動が、大腸がん発症の最初の段階である前がん細胞を減少させ、将来の大腸がんの発症を予防する仕組みを解明した。アメリカスポーツ医学会発行のMedicine and Science in Sports and Exercise(49(9):1805-16, 2017)に発表した。

 タバタ・トレーニングとは、続けて行えば 50 秒程度で疲労困憊に至るような高強度の運動 20 秒と休息 10 秒を 1 セットとして合計 6~7 セット行うインターバルトレーニングの一種で、約4分間という短時間で極めて高い運動効果が得られるというもの。有酸素性および無酸素性エネルギー供給機構を同時に 最大に向上させられる効率的なトレーニングとして世界のトップアスリートに取り入れられているという。

 大腸がんは、正常上皮細胞からがん腫に変化するまでに、がんの初期段階(前がん細胞)と考えられる aberrantcrypt foci (ACF)を経由して腺腫(ポリープ)となることが知られている。

今回、発がん物質を与えたラットにこのトレーニングを水泳で行ったところ、非トレーニング群と比べて大腸内皮細胞のACF数が半分以下となったことを明らかにした。
この結果は、「ストレス」や「免疫」という観点で一般的にがん予防に有効と考えられているような中等度の運動に加えて、タバタ・トレーニングに大腸がん発症抑制効果があることを示唆しているという。

さらに、ヒトを対象としたタバタ・トレーニング実験が30 分間の中等度運動と同程度までヒト血中 SPARC 濃度を高めること、健常な若年男性11名を対象としたタバタ・トレーニング実験で、ヒト骨格筋のSPARC mRNAが増加することを明らかにした。
SPARC(Secreted Protein Acidic and Rich in Cysteine)は運動により骨格筋から分泌されるタンパク質の1つで、大腸のACFのアポトーシス(細胞死)を誘導することで知られる。
このことからタバタ・トレーニングや高強度の運動が大腸がんの一次予防に有効である可能性を示唆した。

論文情報:【Medicine and Science in Sports and Exercise】A mechanism underlying preventive effect of high intensity training on colon cancer

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大学ジャーナルオンライン編集部

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