中部大学の研究グループは中国・河北師範大学、英国・ロンドン自然史博物館と共同で、オタマジャクシに寄生している線虫が、オタマジャクシが変態してカエル成体になるとまったく別の寄生性線虫へと入れ替わる交代現象を発見。後任の寄生虫に「カスガイエンシス(春日井産)」と命名した。

 研究グループは2020年から2023年にかけて、愛知県春日井市にある中部大学春日井キャンパスの実習水田に生息するヌマガエルの生態を調査した。その結果、オタマジャクシからは寄生虫ギリニコーラ・ジャポニカス、変態後のカエルからは未知の線虫が見つかった。

 この線虫は、形態観察とDNA解析を組み合わせた詳細な研究により、これまで知られていない新種であることが判明し、発見地である春日井市にちなんでCosmocerca kasugaiensis (コスモセルカ・カスガイエンシス)と命名した。接尾辞の「エンシス」は、ラテン語で「産」や「生息」を意味する。

 ギリニコーラ・ジャポニカスとカスガイエンシスが同時にカエル体内で共存することはなかったため、「オタマジャクシの寄生虫」と「カエルの寄生虫」はまったく異なることが明らかになった。カエルは成長の途中で、水中生活から陸上生活へと大きく環境を変えるため、接触する生物や感染経路も変化し、寄生虫の種類も大きく入れ替わると考えられるという。

 今回発見された線虫は、宿主の腸内で世代を重ねながら長い年月にわたって共存してきた生物であり、健康な野生個体から普遍的に見つかることからも、少なくとも宿主と長期間共存してきた「共生パートナー」であることが示唆される。寄生虫の交代は、宿主と寄生虫がどのように共進化してきたのかを理解する新たな手がかりとなるとしている。

論文情報:【Journal of Helminthology】Description of Cosmocerca kasugaiensis n. sp. (Nematoda: Cosmocercidae) and redescription of Gyrinicola japonicus (Nematoda: Gyrinicolidae) from the Indian rice frog Fejervarya kawamurai (Amphibia: Dicroglossidae)

中部大学
中部大学

文理医教融合8学部27学科がワンキャンパスに集結する総合大学

約1万人がワンキャンパスで学びます。好奇心に応える施設設備、社会から研究依頼が舞い込む研究室、各分野で評価の高い教授陣が、あなたの創造力を刺激。「やりたいことができる、なりたい人になれる」大学です。[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。