九州大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科の菊池良和助教、山口優実博士、佐藤あおい言語聴覚士、中川尚志教授、福岡教育大学の見上昌睦教授、長崎県立大学の吉田恵理子准教授の研究グループは、吃音のある小中高生116名の意見書・診断書の内容分析を行い、求める合理的配慮の内容が、小学生では「保護的支援」、中高生では「自立・社会参加支援」へと移行することを明らかにした。
2016年の障害者差別解消法の施行により、児童生徒に対する合理的配慮の提供が国公立学校では法的義務、私立学校では努力義務とされた。一方で、2023年に本研究グループは、吃音外来を初診する中高生の26%が不登校状態にあるという深刻な現状を報告した。言葉が滑らかに出ない吃音に関して、教員の知識不足や理解の難しさから、適切な合理的配慮が行き届いていない可能性が示唆される。
今回、吃音のある児童生徒が求める学校での合理的配慮が、成長や進学(小学校から中・高校)に伴いどのように変化するのかを明らかにするため、九州大学病院を受診した吃音のある小中高生116名(小学生65名、中高生51名)を対象に、医療機関で作成された意見書・診断書の内容分析を行った。これらは、専門医(菊池良和助教)が、本人・家族との共同意思決定のもとで作成したものである。
その結果、小学生では「からかい・いじめを教師に報告する(70.8%)」や「教師がほかの児童生徒に吃音について説明する(55.4%)」など、学級担任による保護的な配慮のニーズが多いのに対し、中高生では「担任以外の教師との情報共有(45.1%)」や「在籍校外での面接への配慮(英検・入試面接など)(33.3%)」といった、教科担任制や進学を見据えた社会的自立に向けた支援ニーズへと明確に変化することがわかった。また、音読や発表への配慮は、学齢を問わず共通して高いニーズがあることも確認された。
本研究で得られた知見は、教師や家庭が吃音のある児童生徒の「困り感」に気づくための重要な手がかりとなり、二次的な社交不安や不登校の予防につながることが期待される。

