Physics: Smallest neutrino mass recorded

 
素粒子の1つである反電子ニュートリノの質量が、0.9電子ボルト以下、つまり1.6×10^−36キログラム以下であることを明らかにした論文が、Nature Physics に掲載される。

ニュートリノは、相互作用が弱く電荷を持たない粒子で、電子ニュートリノ、ミューオンニュートリノ、タウニュートリノという3つの異なるタイプがある。ニュートリノの質量は、他の大半の素粒子と比べて極めて小さい。ニュートリノ振動によってニュートリノに質量があることが示されているが、その実際の質量は分かっていない。

今回、KATRINコラボレーションは、トリチウムという放射性同位元素を調べた。この元素は、崩壊してヘリウム、電子、反電子ニュートリノ(電子ニュートリノの反粒子)になる。この崩壊の最大エネルギー分布は、ニュートリノの質量に応じて異なる可能性がある。著者たちは、別の種類の放射性崩壊の悪影響を減らしながら、トリチウムの崩壊数を増やすことで、反電子ニュートリノの有効質量が0.9電子ボルト以下、つまり1.6×10^−36キログラム以下であることを示すことができた。

この結果と、KATRINコラボレーションの最初の組織的な実験の結果を組み合わせることで、ニュートリノ質量がより正確に得られるようになり、ニュートリノに対する理解が少しずつ深まっている。

doi:10.1038/s41567-021-01463-1
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「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

 
※この記事は「Nature Japan 注目のハイライト」から転載しています。
転載元:「物理学:これまでで最も低いニュートリノ質量の上限
 

Nature Japan

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