京都府立医科大学の研究グループは、パーソナルヘルスレコード(PHR)とAIを用いて、個人の健康余命を精緻に推定する方法を開発した。
近年、マイナンバーカードやウェアラブルデバイスの普及により、健診データやライフログなどの個人の健康情報(PHR)をヘルスケアに活用する取り組みが注目されている。一方、国際標準に準拠した健康寿命は、これまで国や自治体レベルの「集団」の指標としては示されてきたが、個人レベルで測定する方法は確立されていなかった。
本研究では、PHRとAIを用いた独自技術により、個人の健康余命を推定する手法を新たに開発した。
まず、2019年の国民生活基礎調査と国民健康・栄養調査のデータを結合し、5,552人を対象に解析を実施した。PHRをもとに、健康寿命に大きく関わる「活動制限を有する確率(日常生活に制限があるかどうか)」を予測する機械学習モデルを構築した。このモデルは高い精度で活動制限の有無を予測できることが確認された。
次に、この予測確率を用いて個人の健康余命を算出する数理アルゴリズムを開発した。「同年代の平均と比べてどれくらい活動制限のない状態にあるか」に、集団の健康余命を乗ずることで、個人の健康余命を推定できるという。
さらに、この技術を「健康余命推計アプリ」として開発。健診データやライフログなどのPHRをマイナポータルやウェルネスアプリから取得・入力することで、健康余命の表示に加え、AIによる健康余命阻害リスクの可視化やフィードバックも可能とした。
本研究により、これまで困難だった個人レベルでの健康余命の推定が可能となり、人々の健康意識の向上や行動変容の促進が期待される。個別化医療や予防医療の推進、組織の健康増進や生産性向上への貢献も見込まれる。
