教育実習

 教育実習では、事前準備として自分なりに教案を作ります。教案は、教師の発言や行動と、学習者の反応の2つについて、内容を書いていきます。例えば教師の欄に、「今日は、教科書66ページ、第8課です」と台詞を書き、板書する内容も書き入れます。教師「これは何ですか」とセリフを書いたら、学習者の欄には「桜です」、「花です」といった予想される発言を書きます。シナリオを描くようなイメージで具体的なやりとりを想定し、それを繰り返しながら授業を組み立てていきます。私は、教育実習前に自分で作った教案を元に、一人で授業の練習を何度も行い、その様子を動画で撮影しました。一人で模擬授業をしてみることで、時間配分の適切さや、話す速度も確認できます。教案を作りすぎず、まずは一人授業をして、修正していくといいと思います。

 シナリオができたら、他の学生と数名のグループになり、学生数人の前で模擬授業をします。そこでは、予想していた反応と違ったり、予想より早く終わってしまったりと、様々なことに気付かされます。その気づきをもとに、さらに教案を作り直します。

 そして、実際に6名の留学生の前で授業を行い、先生や他の学生からいただいたご意見を元に、さらに教案を書き直し、次の模擬授業に臨みます。最初は人前で授業することが怖かったのですが、いろいろなアイデアを取り入れ、やり方を工夫することで、不安は小さくなっていきました。教育実習1日目と5日目では、驚くほど変わった教案ができあがります。その事実が自分が成長していることを実感させてくれます。

 先生方は未熟な私たちの授業にダメ出しをするようなことはなく、例えば漢字圏の学生とそれ以外の学生がいるときの工夫など、あくまでより良い授業になるようなアドバイスをくださるので、その時の自分の精一杯を出すことで、大切な気づきを得られると思います。先生の温かいご指導をもとに、できるようになっていく過程は、気持ちを前向きにさせてくれます。教育実習を通じて、「何事も工夫次第」と思えるようになりました。

日本語教員試験への道のり

 大手前大学通信教育部は登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関として文部科学大臣の登録を受けているため、日本語教員試験については日本語教員試験(基礎試験)と実践研修が免除されます。日本語教員試験の対策において、応用試験の対策のみだったため、負担軽減になりました。私が日本語教員試験に挑戦するときは、大学を卒業し、公立小学校に勤務していましたが、在学中に日々の学修スケジュールは身についていたため、在学中と同様に、20時半から勉強をして対策を進めていました。教材は、日本語教育能力検定試験の過去問題集9年分に加えて、登録日本語教員用の対策本を1冊購入(途中、本番の問題とは少しずれている気がして中断)、さらに動画サイトの日本語教育能力検定試験の音声問題のチャンネルも活用しました。当時は日本語教員試験の問題集が少なかったため、日本語教育能力検定試験の過去問を教材にして対策しました。この当時のリフレッシュ方法は出かけること。日本語教育とはまったく違う環境で過ごすことで、机に向かった時に「さぁやるぞ」という気持ちになりました。

〇Mさんの学修スケジュール
4月~9月
・日本語教育能力検定試験の過去問7冊を1周
・間違えた問題の理解を丁寧に行いながら1周
・過去問の音声問題と動画サイトの音声問題を毎日繰り返し、耳を慣らす
10月
・複数回間違えた問題を中心に復習
・日本語教育に関わる数字(学習者数や在留資格等の種類など)のまとめと確認
・日本語教育検定試験の過去問2冊を使い、本番と同じ時間と問題数で取り組み、本番の時間の流れを確認
11月(応用試験)
・試験前日 前泊し会場までの道のりを実際に確認
・試験当日 数字のまとめのメモと用語集だけ持参

 私は日本語教育能力検定試験の問題を基本に対策しましたが、実際の日本語教員試験の問題は検定試験の問題とは少し傾向が異なりました。しかし、基本的な知識を確実にすることで対応できました。また、音声問題は毎日繰り返し勉強し、耳を慣らしておいて良かったと感じました。日本語教員試験の音声問題は、1つの問題につき1回しか音声が流れません。聞き漏らすと焦ってしまいますが、何度も問題に取り組むことで、聞き漏らしても焦らず次を聞くことで全体を理解する訓練ができたと思います。本番と同じ制限時間・問題数で複数回練習したことで、時間配分で焦ることなく回答できたのも良かったと感じています。今はいくつも対策本も出ているかと思うので、最新のものを2冊ほど読めると問題傾向もわかってくるのではないかと思います。

 試験当日の会場には、長時間の試験に挑めるよう、快適な場を作るために、座布団やひざ掛けも持参。飲み物もお茶とコーヒーを持参し、眠気が思考を邪魔しないように対策しました。無事に合格することができ、日本語教員の求人の条件に必ずと言っていいほど記載されている「登録日本語教員」になれたと思い、ほっとしました。「私は日本語教員です」と言えることは、自信につながりました。

※通信制大学初の登録日本語教員養成・実践研修課程。大手前大学通信教育部について詳しくはこちら
https://dec.otemae.ac.jp/welcome/japanese/

日本語教員の仕事

 現在は公立小学校に勤務し、4か国(インドネシア、フィリピン、ブラジル、中国)出身の9名の児童を受け持っています。教育実習での授業づくりと実践、日本語そのものに関する知識、日本語教育の知識は、現場で役立っています。子どもは急に成長する瞬間があります。そこに立ち会えた瞬間、日本語教員をやっていてよかったと感じます。カタコトだった日本語から、助詞が入り、単文から複文を使いこなしていく学習者の成長を一緒に感じられることは、日本語教員の醍醐味だと思います。

 現在、小学校の中では、日本語教員という職業自体があまり認知されていません。日本人であれば日本語を教えられる」「50音を教えればいい」といった誤解が今もあり、日本語教員は、学習支援の先生と同じような立場です。私の勤務する地域の公立小中学校でも、小学校や中学校の教員免許を持った教員が日本語指導を担当しており、日本語教育を専門に学んだ経験はない場合がほとんどです。そのため、例えば格助詞「へ」と「に」の違いや、形容詞と形容動詞の活用の違いなど、区別すべき内容を混ぜたまま提示することが起こります。また、日本人の子どもは新出漢字を何度も書いて覚えますが、それではその漢字を使う場面がわかりません。そこで日本語学習者の場合は、漢字学習は文章の中で教えます。このように、日本語を外国語として教える視点が必要であり、ここに日本語教育の必要性があると考えています。

 文部科学省の調査によると、日本語指導が必要な児童生徒は令和7年度で84,759人と過去最多で、令和5年度から22.6%増えています。この増え方が続けば、日本語指導は一部の学校の特別な対応ではなく、どの学校でも必要になっていくでしょう。すると、指導する場と指導者をどう確保するかが課題になります。

 また、必要性の中身も変わっていくのではないかと思います。これまでは日本語指導ができる人を確保することが中心でしたが、これからは日本語教育を専門に学んだ人が担当することが求められるようになると考えています。登録日本語教員という制度ができたのは、その表れだと思いますし、そのような時代になることを期待しています。

※参考:【文部科学省】令和7年度 日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査の結果(PDF)
https://www.mext.go.jp/content/20260525-mxt_kyokoku-000049811_01.pdf

まとめ 働きながら登録日本語教員をめざせる大手前大学通信教育部

 実際に登録日本語教員の資格を取得された方の体験を通じて、家事や仕事と学業の両立、学修の進め方などのイメージを持つことができましたでしょうか。今後、ますます重要性が増すことが予想される日本語教員。興味を持たれた方は、資格取得を検討されてはいかがでしょう。

※大手前大学通信教育部について詳しくはこちら
https://dec.otemae.ac.jp/welcome/japanese/

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大手前大学 通信教育部

大学ジャーナルオンライン編集部

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