11月5日の「世界津波の日(World Tsunami Awareness Day)」に併せ、東日本大震災などで得られた知見をもとに津波数値解析技術などの研究を行っている東北大学災害科学国際研究所では、グローバル津波評価(過去400年間)の研究成果を発表した。

 2004年スマトラ地震インド洋津波や2011年東日本大震災などで多くの犠牲者と広域な被害を出している津波は低頻度大災害のひとつで、津波常襲地域以外でもどのような津波の危険性があるかを知ることは重要であり、世界的なスケール科学的な評価に基づく評価が必要となっている。

 今回のグローバル津波評価(過去400年間)は、科学的な津波評価の結果を全世界的に提供することで、各地の津波対策や啓発活動に活用してもらうことが目的。過去400年間の94例の津波災害に関し断層モデルを推定することで全地球での津波発生及び伝播計算を実施し、その高さ分布、流体力、さらに到達時間などを評価した。

 その結果、過去40年間余りで見ると、主な津波被害はインド洋津波と東日本大震災によるものだが、過去400年まで遡ると、チリ(1960年)、アメリカ西海岸(1700年)等でも大きな津波被害が発生していたことがわかった。一世代の記憶による津波認識では、その地域で津波経験はないように思われても、より長い期間で見れば危険性がある地域があることがわかり、今後、より広範な地域で津波に注意する必要があることが示唆された。また、建物被害を生じさせる要因である最大流体力の分布の評価からは、最大津波高さの分布と一致しておらず、思わぬ場所で流失による被害があることも示唆された。

 この研究成果は2016年11月2日アジア閣僚級会議(インド・ニューデリー)の特別セッション、11月5日内閣府主催の津波防災の日啓発イヘ゛ント「東日本大震災の教訓を未来へ~いのちを守る防災教育の挑戦~(東京)」で報告予定。解析結果レポートは 東北大学災害科学国際研究所 のHPに掲載し、今後、過去の津波ハザード評価結果をWEB上(地理情報システム:GIS)でも詳細に見ることができるシステムを開発する。

東北大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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