東京大学大学院薬学系研究科の五十嵐中特任准教授は、医薬品等の開発と製造、販売を行うサノフィ株式会社と共同で、高コレステロール血症患者のLDL(悪玉)コレステロール(LDL-C)管理不徹底に起因する心臓病が、個人と社会にもたらす影響について調査を実施した。

 調査は日本在住の40~60代の男女合わせて1,246人を対象としたウェブアンケート、および文献検索によって行われた。

 日本循環器学会の推計によると、心臓病のうち心筋梗塞の患者数は年間で6万9,219人。LDL-C の管理不徹底による心臓病(この場合狭心症および心筋梗塞に代表される虚血性心疾患)の発症は年間約2.8万件と推計され、社会全体の経済損失を試算すると、超過急性期医療費が年間約569.4億円、1年あたりの生産性損失が約 135.1億円で、計704.5億円となる。なお、早期死亡による生産性損失は約660億円にのぼる。

 厚生労働省「健康日本21」によると、高コレステロール血症は虚血性心疾患の危険因子とされているが、心臓病を発症する前は、高コレステロール血症には症状がないため認識が浅くなりがちだという。

 調査によると、LDL-C 値が高い集団における今後10年間の超過心臓病発症予測数において、男性の心臓病発症数は 40~59 歳から急激に増加することが判明した。
また、高コレステロール血症患者のうち、心臓病を発症したことがある患者は、心臓病を発症したことがない患者と比較すると「仕事を減らした・仕事を辞めた」と回答した人数が有意に大きかった。
さらに心臓病を発症したことがない患者の 17.4%、心臓病を発症したことがある患者でも 17.6%が自分の LDL-C値を「知らない」と回答した。
 
 調査結果の分析を担当した五十嵐特任准教授は、「LDL-Cの影響は徐々に蓄積されていくので、高コレステロール血症患者がLDL-C値を日々管理することで心臓病を予防することは、個人にとっても社会的にも重要」であるとして、高コレステロール血症患者における心臓病の発症予防の重要性を訴えている。

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