山口大学大学院創成科学研究科の今岡照喜教授、永嶌真理子准教授、加納隆名誉教授、海洋研究開発機構の木村純一上席技術研究員、常青(Qing Chang) 技術主任、ジェムリサーチジャパン株式会社の福田千紘課長らの共同研究グループは、リチウムを含む新鉱物を愛媛県上島町岩城島で発見した。発見された鉱物は、著名な鉱物学者・岩石学者である山口大学名誉教授の村上允英氏にちなみ「村上石」と命名された。

 愛媛県上島町岩城島には特異な「エジル石閃長岩」を産することが古くから知られ、岩石学者の関心を集めていた。1944年に九州大学の杉健一氏と久綱正典氏によって「エジル石閃長岩」が学術誌に報告され、1968年3月8日に愛媛県の県指定天然記念物に指定されている。その後、この岩石から、村上允英氏によって1976年には新鉱物の「杉石」が、1983年には2つ目となる新鉱物の「片山石」が発見された。片山石の発見から四半世紀以上の年月が経過し、その間の分析技術の進歩は目覚ましく、また、鉱物や岩石の研究者が誰も研究対象にしなかったことなどから、同研究グループは、オンリーワンの研究を目指して「エジル石閃長岩」を再検討することにした。再検討にあたっては、「エジル石閃長岩」が県指定の天然記念物であるため、愛媛県教育委員会に現状変更等許可申請書を提出したうえで研究が開始された。

 今回共同研究チームが発見した「村上石」は、LiCa2Si3O8(OH)という化学式で表されるリチウムを多量に含む珍しい鉱物。この鉱物が属するペクトライトグループには、こうした組成を持つ鉱物が存在するものと世界中の鉱物学者が予測していたが、長らく空位のままであった。今回の「村上石」の発見は、このミッシングピースを埋める成果であり、大変貴重な発見だといえる。

 「村上石」は、国際鉱物学連合の新鉱物・命名・分類委員会により新種として2016年10月7日に正式に承認され、11月29日にイギリスの学術雑誌「Mineralogical Magazine」のNew Mineralsリストに掲載された。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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