大阪大学の石井健特任教授らの研究グループは、微細粒子の吸入によるアレルギー性炎症の発症機構を解明した。新規予防法や治療戦略が期待される。

 アレルギー性疾患に関与する多様な因子の一つに大気中の微細粒子(PM2.5、黄砂、ディーゼル粒子など)がある。多くの研究報告から、大気中の微細粒子にはアレルギー性炎症を誘導・増悪する「アジュバント効果」(アレルゲン[アレルギーを引き起こす抗原物質]に対する免疫反応を増強させる作用)があることが判明しているが、その詳細な仕組みは不明だった。

 PM2.5などの微細粒子を吸入すると気道の奥まで達し炎症反応を生じ、その対応として肺にいる肺胞マクロファージが微細粒子を貪食し、体外へ排出させる。そこで今回、マウスから回収した肺胞マクロファージを使って多種の微細粒子を貪食させた。その結果、アレルギー性炎症を生じる微細粒子(アルミニウム塩やシリカ)を貪食したときだけ肺胞マクロファージが細胞死を起こし、IL-1アルファという免疫刺激物質を放出した。また微細粒子をマウスの肺に投与すると、IL-1アルファが二週間にわたって肺の中に放出され続け、その間にアレルゲンを吸入するとアレルギーの原因因子の一つであるIgE(免疫グロブリンE)が誘導された。このことは微細粒子を吸入すると、長期的にアレルゲンに反応しやすい状態が続くことを示している。また肺には異所性リンパ節といわれるリンパ組織が形成され、それがIgE誘導に関与する可能性が示唆された。

 今回の成果により、微細粒子によって誘導される免疫刺激因子をコントロールすることによって、PM2.5や黄砂によって引き起こされるアレルギー性炎症の新規治療法の開発が期待される。

大阪大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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