地方創生が国を挙げて叫ばれながらも、東京一極集中の加速により中央と地方の格差が広がっている問題について、日本学術会議は地方に魅力ある仕事を創出するとともに、国の交付金がどのように活用されているか検証することなどを求める提言をまとめた。政府のまち・ほと・しごと創生本部に向けたもので、関係省庁にも施策の再考を求めている。

 日本学術会議によると、提言は4つの柱で構成された。
第1が魅力ある仕事の創出で、地方創生には高速交通体系の整備とともに、IT、クリエイティブ関連の魅力ある仕事の創出が不可欠とし、東京圏に集中しているこれら産業の地方分散を促す必要があるとした。

 第2が地方創生関係交付金の検証。交付金制度の設計上の課題について議論するとともに、交付金がどのように使われ、どんな地域差を生んでいるかを検証し、制度の改善に役立てるべきだと主張している。

 第3が政策立案のための情報化の推進。地方の基幹産業である第1次産業でICT技術の高度化を図る一方、国の地域経済分析システムへ市町村内の小地域データを組み込み、具体的な政策形成に活用すべきだとしている。

 第4が柔軟な広域連携の実現。地域経済の実態を踏まえて財政制約の中でより効果的な政策を実行するには、地方自治体の枠組みを超えた広範な連携が必要とし、創生本部が打ち出す連携中枢都市圏だけでなく、医療や観光など機能ごとに柔軟で多様な連携を模索すべきと提案している。

参考:【日本学術会議】人口減少時代を迎えた日本における持続可能で体系的な地方創生のために(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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