岡山大学の田中秀樹教授らの研究チームはメタンハイドレートに物質が吸着してしまうメカニズムを世界で初めて解明しました。天然ガスを輸送するとき一部でメタンハイドレートが生じることが原因でパイプラインが詰まってしまうことが問題となっていますが、これを回避する手掛かりになるかもしれません。

 メタンハイドレートは天然ガスの一種であるメタンと水が結合することでできる結晶で、燃える氷とも呼ばれています。海底や永久凍土の中に存在し、新しいエネルギー供給源として注目されています。また、天然ガスを輸送するパイプラインの中でも条件が揃えば発生し、パイプを詰まらせてしまうことがあります。この対策には世界で毎年500億円もの費用が投じられています。

 パイプが詰まる原因は、メタンハイドレートの結晶は表面に様々な物質を吸着するためだと考えられています。今回の研究ではスーパーコンピュータ「京」を使ってメタンハイドレートに物質が吸着する様子をシミュレーションしました。物質の間に働く引力はエネルギー由来のものと、エントロピー由来のものがあります。エントロピーとは液体や気体の中での分子の動きを考えるときに重要な概念で、分子の散らばり具合を表しています。これまではメタンハイドレートへの物質の吸着はエネルギー由来の引力によるものと考えられてきました。しかし京を用いたシミュレーションの結果、エントロピーに由来する引力が働いていることが明らかになったのです。

 これまで予測されていたメカニズムが覆されたことで、パイプのつまりを阻害するための全く新しい薬剤を開発することができるようになるでしょう。現在投じられている巨額の費用を減らすことに貢献できるかもしれません。また、新エネルギーとして注目を集めているメタンハイドレートの採掘、普及にも欠かせない技術となるでしょう。

出典:【岡山大学】メタンハイドレート表面への分子吸着機構を解明

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大学ジャーナルオンライン編集部

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