一流大学を目指し、高校生の学習時間が増加していることが、教育シンクタンク・ベネッセ教育総合研究所(東京都多摩市、谷山和成所長)の第5回学習基本調査で明らかになりました。一流の大学、会社志向が強まり、一流大学に進学することが将来に幸せにつながると考える児童、生徒が増えているのも、最近の傾向となっています。

 調査は全国の小学5年生33校2,601人、中学2年生20校2,699人、高校2年生18校4,426人を対象に2015年6~7月に実施。対象となる学校の所在地は小中学生が東京23区と四国の県庁所在地、東北の郡部で、高校生は九州の都市部と郡部を加えています。

 それによると、小学生の1日平均学習時間は、前回(2006年)の81.5分が95.8分に増加しました。中学生も前回の87.0分が90.0分に、高校生も前回の70.5分が84.8分に増えています。都市部の中学受験や宿題量の増加とともに、脱ゆとり教育の影響が現れたとみられています。
学校の勉強が将来にどう役立つかを尋ねたところ、小中高とも「一流の会社に入るため」「社会で役に立つ人になるため」が8割以上を占めました。小学生は57.8%が「金持ちになるため」と回答しています。

 中でも極端に大きな伸びを見せた回答は「いい大学を卒業すると将来、幸せになれる」で、前回と比較して小学生16.9%、中学生16.0%、高校生12.8%も伸びました。この回答率は前回までほぼ横ばいで推移してきましたが、今回急激に増加したことが子供たちの意識変化の表れと考えられています。

 4年生大学への進学希望者に希望する入試方法を尋ねたところ、推薦やAO入試を希望する生徒が今回初めて大幅に減少、前回の40.4%から28.7%になりました。高校の教育現場で入学後に影響が出ないようなるべく一般入試を受験するよう勧めていることが影響したとみられています。

参考:【株式会社ベネッセホールディングス】ベネッセ教育総合研究所「第5回学習基本調査」データブック [2015]

大学ジャーナルオンライン編集部

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