総務省の地方創生に資する「地域情報化大賞2015」で、公立はこだて未来大学マリンIT・ラボの「IT漁業による地方創生」が大賞に当たる総務大臣賞に選ばれました。衛星利用測位システム(GPS)やセンサー付きブイを活用、水産物の分布状況や海洋環境を可視化するもので、漁業者が情報を共有することにより、適切な資源管理や技術継承を可能にします。

 総務省によると、公立はこだて未来大学マリンIT・ラボは所長の和田雅昭教授ら研究者と漁業者が一体となって2012年、学内に立ち上げた研究組織。これまでの活動成果が地元漁協など30団体、漁船158隻に技術移転されました。従来の観測用ブイのコストを10分の1以下に低減させる効果を上げているほか、北海道留萌市ではナマコの資源量を1.6倍に回復させています。

 水産物の分布状況や海洋環境の把握については、漁業者の勘や経験に頼ることが多かったのですが、情報の共有により誰もがベテラン漁業者の勘や経験を受け継ぎ、適切な資源管理ができるようになりました。北海道の漁業は漁業者の高齢化、後継者不足、魚価の低迷に苦しんでいますが、IT技術の積極的活用で持続的な沿岸漁業の新たな可能性を開いたと注目を集めています。

 表彰式は3月9日、東京都江東区の東京ビッグサイトであり、高市早苗総務相から表彰状が手渡されます。

参考:【総務省】地方創生に資する「地域情報化大賞2015」表彰事例の発表及びシンポジウム『「地域ICTサミット2015」~地方創生におけるIoTの可能性~』の開催

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