長崎大学 熱帯医学グローバルヘルス研究科長を務める北潔教授らのグループは、3大感染症の1つに挙げられるマラリアに対し、抗マラリア薬「アトバコン」の耐性原虫が流行地で拡散せず、サプリメントの「5-アミノレブリン酸」が原虫の増殖を抑えることを突き止めた。

 長崎大学によると、最も新しい抗マラリア薬「アトバコン」は、感染症の原因となるマラリア原虫に耐性が発生しやすい点が問題になっていたが、研究グループはマウス実験で耐性の原因が原虫のミトコンドリア電子伝達系の変異であることを証明した。
耐性原虫が媒介昆虫である蚊の体内で増殖できるか調べたところ、増殖できないことが分かった。研究グループは「アトバコン」の薬剤耐性を持つ原虫が出現しても、流行地で拡散することはないと結論づけている。

 一連の研究はオーストラリアの研究グループと共同で、人の感染するマラリアのうち最も悪性の熱帯性マラリアでも同様であることを示し、米国の学術誌「サイエンス」に掲載された。さらに北教授らはマウスを用いた実験でサプリメントの「5-アミノレブリン酸」が原虫の増殖を抑制し、治癒したマウスが再感染に100%の抵抗力を示すことを突き止めた。今後、アフリカで人を対象とした治験を進めることを検討している。

 マラリアは全世界で年間、約2億人が感染し、約60万人が死亡している。この研究はマラリア撲滅へ大きな効果があるとして、ポリフィルン-ALA学会から学会賞を贈られた。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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