相談

高校の1年生の女子です。特別、英語が好きというわけではないのですが、友人から、今後は入試のためにも留学しておくとよいと聞きました。なんとなく両親との関係もパットしないので家を離れてみたいし、楽しそうで、英語もすぐネイティブみたいになれそうで、受験に有利なら一石二鳥かなと考えています。ご意見お願いします。

 

回答

入試に有利になるかはケースバイケースだと思いますが、経験談をもとにいくつかの観点から意見を言わせてもらいます。

 まず、留学によって得られるものは、他のことでも同じですが、本人の気持ちの強さによって変わるということを忘れないでください。その上で、留学は環境を変えてくれますから、例えば家族との関係をリセットするにも一番健全なやり方かもしれません。また友だち作りは苦手だけれど、友人はたくさんほしい。だから引っ込み思案の自分をかえたい、変身したい、と言う人にとっても大きなチャンスになるでしょう。

 もちろん語学の壁や文化の違いなど、困難もつきものです。そこで以下では、留学経験が受験を含めたキャリアの中でどう活きたか、経験者の方に話を伺ってみました。

 私立女子高の高校1年から2年にかけて10か月間、日本人のほとんどいないアメリカに留学し、3年間で高校を卒業。一般入試で進学した大学で再度留学、超人気の外資系企業に就職したばかりのAさん(女性)です。

*高校留学で英語が不自由なく話せるようになりましたか?大学受験でのメリットは?
もともと得意ではなかった英語力を上げたいと留学しました。ただ受験したのは一般入試でしたから、他のメリットについてはわかりません。留学先には日本からの留学生もいましたが、日本人同士固まっていては、留学の意味がないと思い、できるだけ現地の人と交流するように心がけました。おかげで英語に対する抵抗感がなくなりましたが、これが最大の収穫。高校時代の1年間の留学では、正直、社会で通用する英語力は身につかないと思います。その後、大学受験に向けて英文法をしっかり学んだことが、TOEICの点数アップや、就活に大いに役立ったと思っています。

 留学で得られるものは外国語の力だけではありません。ホストファミリーや現地の人との文化の差を感じたり、彼らとうまく折り合いがつかなかったりしましたが、それをどう受け容れていくかを考えるいい機会になりました。

*後輩の高校生に留学を進めますか?
留学は、人間としてたくましく成長できるチャンスです。ただ、やる気がない状態で行っても、行ったきりで終わってしまうと思います。留学することで自分は何を得たいのか、確固たるものでなくても、何らかの目的意識を持っていくことが不可欠ですね。

 また、一度しか行けないのであれば、大学での留学を薦めます。授業ではレポート作成など、自分の考えをきちんとまとめる勉強が必要ですし、より高度な語学力が求められるので、必死に学ばなくてはならないからです。

 目的意識がはっきりしているか、それを貫く意思を強くもてるかで行動が変わってくる。海外に初めて出て、言葉も通じない、頼れる親もいないと、寂しさ、心細さから言葉が通じる人と仲良くしたいのは当然。しかしそこで、「留学にきているんだから」と踏ん張れるかどうか。それが留学経験を実りあるものにできるかどうかの分岐点のようです。また彼女の言葉から、留学経験で得た力を帰国後も養っていこうという姿勢は、大学入学後から就職に至るまで大きく影響することがわかります。そして彼女が最後に言っているように、大学入学後は、外国語能力を高めること以上に、自分の考えを述べる力が求められます。大学入試で評価されるかどうかはともかく、一番大事なのは、どのような目的意識で留学に行き、何を得て、それを大学や社会でどう役に立てたいかを考えることではないでしょうか(続く)。

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雑賀 恵子
異分野から工学の世界に入り、感情・表情・脳と癒しをテーマに北岡オリジナル癒し工学を提唱。工学、医学、芸術、心理学、環境学、社会学、宗教人類学の新学際研究に従事している。08年12月に日本機械学会計算力学部門に「癒し工学研究会」を設立。09年、東京工業大学において博士(工学)を取得。日本機械学会、日本感性工学会、日本早期認知症学会、日本脳電位学会会員。2011年日本機械学会「癒し工学研究分科会」主査。東京工業大学大学院助教を経て、2015年4月より現職。他に自動車事故対策機構 自動車アセスメント等技術検討ワーキンググループ 「予防安全技術検討ワーキンググループ」委員。著書は『癒しは科学で手に入る』(幻冬舎ルネッサンス新書)。2015年春からは、日経テクノロジーオンラインで『スポーツをテクノロジーする』を、電気新聞で「癒し工学の散歩道」を連載中。青山学院高等部出身。

 

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大学ジャーナルオンライン編集部

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