横浜市立大学大学院の大塚章弘教授は、1980~2019年の都道府県データを用い、人口集中と生産パフォーマンスの関係を検討した。
今回の研究では、47都道府県の公式統計データ(都道府県別経済財政モデル・データベース(内閣府))を用いて、成熟経済下に東京圏への人口集中が続くなかで、地域の生産パフォーマンスの変化を検討し、以下の内容を確認した。
東京都では、1990年代半ば以降も人口密度が上昇を続けた一方、1人当たり実質県内総生産(GRP)の伸びはそれ以前と比べて大きく鈍化し、長期的には全国平均を上回る伸びを示さなかった。
また、1990~2019年の都道府県比較では、人口増加率と1人当たり実質GRP成長率との間に負の統計的関連がみられ、人口増加率の高い都道府県ほど1人当たり実質GRP成長率が低い傾向が確認された。
1人当たり実質GRPの地域間格差については、上位地域と下位地域の差は大きく縮まっていないものの、都道府県全体では格差縮小の動きがみられた。北関東3県(茨城県、栃木県、群馬県)、滋賀県、三重県などでは、東京都を上回る1人当たり実質GRPの長期的な伸びが確認された。
さらに、人口・就業密度と人口1人当たり・就業者1人当たりの生産との統計的関連を「密度プレミアム」(人口密度が高いと実質GRPが高く、就業密度が高いと実質県内総生産が高いという統計的な関連)と捉え、それが1990年代以降に大幅に弱まったことを確認した。
この現象は、従来の標準的な枠組みだけでは十分に整理しにくいため、今回の研究では、大塚教授が提唱する「Borrowed Size(借りた規模)三層モデル」を用いて整理し、補完的な枠組みとして位置づけ、今後の検証課題を示した。
