大阪大学の研究者が参画した世界的な大規模実験により、富裕層が私的解決を選択することで公共的解決が阻害され、不平等が拡大する「私的解決策の罠」が文化の違いを超えて普遍的に生じることが実証された。
気候変動などの国際社会全体が関わる問題では、温室効果ガス削減などの「公共財」への投資(公共的解決策)と、堤防建設や移住などの「私的解決策」の選択が並存する。私的解決策は資源を持つ主体には、不確実性を低減できる合理的な保険手段だが、一方で公共的解決へのインセンティブを弱める可能性がある。
この問題に対し、文化・制度環境を超えた普遍性の検証を目的とした国際共同研究が実施され、世界34か国横断で7500人超が参加した。この大規模経済実験では参加者が、「富裕層」か「貧困層」にランダムに割り当てられ、「全員に利益をもたらす公共的解決策」か「自分のみを守る私的解決策」に資源を配分する意思決定を繰り返し行った。
その結果、「富裕層」の参加者は一貫して私的解決策を選択する割合が高く、公共的解決への相対的貢献は低かった。この傾向は34か国すべてで観察され、集団全体の利益を損ない、実験終了時の不平等を大幅に拡大させた。また、富の起源(努力か運か)は意思決定に有意な影響を与えないことも分かった。
今回の研究では、人々の持つ傾向が文化を超えて観察され、相互協力を促す制度が公共的解決を支える普遍的メカニズムであることが判明した。これらの知見により、国際的な気候政策枠組みや協調メカニズム設計に対し、「私的解決策の罠」を回避するための重要な指針と、国際交渉や政策形成に重要な示唆を提供できるとしている。
