東京大学大学院理学系研究科の深田吉孝教授、清水貴美子助教らの研究グループはマウスを使った実験で、1日のうち記憶のしやすい時間帯が活動期の前半であることを突き止めた。脳内の海馬に存在する体内時計が記憶しやすい時間帯を生み出しており、この研究を生かせば将来、ヒトの老化に伴う記憶障害改善に役立てる可能性があるという。

 東京大学によると、研究グループはマウスに2つの積み木を5分間見せ、いったんホームケージに戻したあと、長期記憶は24時間後、短期記憶は8分後に再び、積み木を見せる5分間のテストをした。この際、マウスに見せる積み木の1つを既知のものから別のものへ交換し、積み木の探索時間でマウスの記憶の強さを評価した。

 その結果、短期記憶については1日を通して認識度に変化がなかったものの、長期記憶は活動期の前半に高くなっていることが分かった。マウスは夜行性なので、夜の早い時間ほど記憶力が高かった。

 長期記憶の日内リズムはマウスの体内時計発振中枢を破壊すると失われた。さらに記憶をつかさどる海馬の遺伝子を欠損させたところ、活動や休息のリズムに変化がなかったが、どの時刻にも長期記憶が見られなくなり、海馬が長期記憶のリズムを生み出していることが明らかになった。

 ヒトでも長期記憶に日中変化があることが知られている。今回、発見された記憶のメカニズムはヒトにも当てはまると考えられ、昼行性の人の場合、長期記憶の学習効果がピークを迎えるのは午前中となる。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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