大阪大学免疫学フロンティア研究センターの鈴木一博特任准教授らの研究グループは、交感神経によって免疫応答※の日内変動が生み出されるメカニズムを解明した。免疫応答の日内変動を把握し、免疫応答の強く起こる時間帯にワクチンを接種すれば、その予防効果を最大限に引き出すことが可能となる。

 免疫を起こさせる抗原を認識してから免疫が成り立つまでの生体反応を「免疫応答」という。これまで研究グループでは、交感神経がリンパ球の体内動態を制御する仕組みを発見していたが、この仕組みが免疫応答においてどのような役割を果たしているかは不明だった。

 交感神経の活動性には、1日のうちで身体の活動性が高まる時間帯に上昇し、身体の活動性が低くなる時間帯に低下するという日内変動があり、ヒトの場合は昼間、夜行性であるマウスは夜間にピークに達する。
今回、マウスのリンパ節におけるリンパ球数を測定したところ、交感神経の活動性の変化に一致して、夜間に増加することがわかった。さらにリンパ球数の増加の原因が、交感神経の活動性の高まりによって、リンパ球がリンパ節から脱出することを抑制されることを突き止めた。
次に交感神経の活動性が高まる夜間にマウスにワクチンを接種したところ、昼間よりも強い免疫応答が起こり、高いワクチンの効果が得られたという。これらの結果から、交感神経がリンパ球の体内動態を制御する仕組みが、免疫応答の日内変動を生み出すことが明らかになった。

 現在、ワクチンによる感染症の予防効果は、個人差が大きいことが問題となっているが、今回得られた知見を利用し、交感神経の活動性が高く免疫応答が強く起こる時間帯(ヒトの場合は午前中)にワクチンを接種すれば、より高く安定した効果が得られると期待される。

大阪大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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