国立大学協会は、現在、著作権制度の整備に関する法改正議論について期待を表明し、教育の情報化推進における要望を明らかにした。異時送信の無償化や著作権制度運用の明確化などを求めている。

 著作権法では、教材資料や講義映像の送信など授業の過程で行う同時の公衆送信では著作権が制限され、著作権者の許諾は不要。現在、文化審議会において、eラーニング等、異時送信(異なる時間の公衆送信)を新たに権利制限の対象とする是非、また、制限対象とする場合の補償金請求権付与の問題や、従来無償であった複製についての検討がなされている。

 同協会は、異時送信を権利制限の対象とすることは教育の質の向上に貢献し、複製等と同様に無償が望ましいとする。補償金請求権の付与の場合でも、公共性の点から低額とすべきとし、補償金やライセンス料の支払い方法や複製との関係など、教育研究や教育の情報化の推進の立場から、関係機関や省庁との協力の下で早急な検討が必要という。さらに、グローバル化の観点からも、国際的に整合性のとれた体制整備を求めている。

 また、知的財産に関する教育・人材育成の充実という政府の要望(「知的財産推進計画 2016」)に応え、教育情報化の推進と著作権制度などの知的財産に関する理解促進のため、教育活動全般を通じた積極的取組みを重視。一方、著作権制度に関する普及啓発については、ガイドライン作成など関係者各自の現在の取組みに加え、文化庁による解釈・運用の明確化を期待している。

 文化審議会では、異時送信以外にも教育の情報化に関する重要課題が議論されており、今後の情報オープンアクセス化の進展を見据え、総合的かつ柔軟な検討の継続が望ましいとしている。

大学ジャーナルオンライン編集部

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