筑波大学学際物質科学研究センター守友浩教授の研究グループは、低コスト電池材料であるコバルトプルシャンブルー類似体(LixCo[Fe(CN)6]y)が室温で大きな熱起電力を示すことを発見した。この熱起電力は、主な半導体熱発電材料であるテルル化ビスマス(Bi2Te3)の1度あたり0.2ミリボルトを超え、0.2〜0.8ミリボルトと大きい。

 産業排熱の再利用、建物表面の太陽熱を利用した発電、体温を利用したモバイル発電など熱を電気に変換する熱発電技術が注目されている。

 研究グループはこれまで、低コストの熱発電を実現するため、リチウムイオン二次電池における正極と負極材料を熱起電力の大きな材料に置き換えることを提案してきた。今回の研究では、正極をコバルトプルシャンブルー類似体薄膜、負極を金属リチウム、電解液を1MLiClO4を溶解した炭酸エチレン/炭酸ジエチル溶液としてリチウムイオン二次電池を構成し、電解液の温度と起電力の関係を調べた。

 結果、起電力は温度に比例して変化すること、及びコバルトプルシャンブルー類似体中のリチウム濃度と鉄濃度を制御することで熱起電力が正負に変化することを観測した。この正負への変化は、材料の熱膨張係数を考慮した点電荷モデルで定量的に再現できることから、熱膨張係数が熱起電力の大きさを決めていると説明できるという。

 この研究により、コバルトプルシャンブルー類似体の熱発電材料としての有望性が明らかになったとし、より大きな熱起電力を示す材料を開発し、低コストの熱発電素子の実現を目指すとしている。

論文情報:【AIP Advance】Temperature effect on redox voltage in LixCo[Fe(CN)6]y

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