東京大学の田中肇教授らの研究グループは、さまざまな正四面体構造を形成する傾向を持つ液体の中で、水が極めて特異的である物理的な起源を解明するとともに、温度・圧力相図と特異性の関係を明らかにすることに成功した。

 4℃で密度の最大を示し結晶化の際に体積が膨張するなど、他の液体にない極めて特異な性質を持つ水は、気象現象、地球物理現象、生命現象などに大きな影響を与える。このような異常性は水に限らずシリコン、ゲルマニウム、炭素、シリカなど正四面体的な局所的な構造を形成する傾向を持つ液体に共通してみられる。これらの液体は、水素結合、共有結合などの方向性の結合を持ち、それが局所的に正四面体的対称性を好むことがその起源であることは知られていた。しかし、正四面体形成能や温度・圧力相図の形とこれらの液体の示す特異性との間の関係は不明であった。

 研究グループは、正四面体構造を形成する傾向の強さを系統的に変えられるシミュレーションモデルを用いて、これらの関係の解明に初めて成功した。まず、シミュレーションで得られたさまざまな特異性と同グループが以前提案した理論モデルの予測との比較により、これらの異常性のすべてが、局所的に安定な構造の形成に起因していることを明らかにした。また、その比較をもとにこれらの特異性を支配している物理因子を特定し、水がこれらの液体の中で最も特異的(密度の異常性が最大など)である理由の物理的な起源を明らかにした。

 今回の研究成果は、人類にとって最も重要な物質群の示す特異的な性質の系統的理解に大きく貢献するものと期待され、生命科学、地球科学など広範な分野に波及効果が期待される。

論文情報:【Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America】Water-like anomalies as a function of tetrahedrality

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