東京大学の梶田隆章教授が2015年のノーベル物理学賞を受賞しました。素粒子の一種であるニュートリノに質量がある証拠を実験から示した功績に対して贈られました。

 現代物理学では物質を構成する最小単位である原子もさらに小さな粒子に分けられることが知られています。素粒子は現在考えられているもっとも根源的な粒子で、理論的に17種類の存在が予測されているうちの一つがニュートリノです。ニュートリノは天体の爆発などによって宇宙空間にまき散らされますが、地球さえも容易にすり抜けてしまう観測が難しい粒子です。この観測に世界で初めて成功したのが小柴教授です。小柴教授は岐阜県神岡市の鉱山内にカミオカンデと呼ばれる巨大な水のタンクを建設しました。もともとは水を構成する原子が持っている陽子が壊れる様子を観測するために作られたものでした。ところが1987年2月23日の7時35分35秒から約13秒間、偶然マゼラン星雲から地球に飛んできた大量のニュートリノが極わずかに水との衝突を起こしました。このとき出る光をタンク内部に敷き詰めたセンサーで検出、解析することで期せずしてニュートリノの存在を実証したのです。小柴教授はこの功績で2002年にノーベル賞を受賞しました。

 その後、より高性能なスーパーカミオカンデが作られると今度はニュートリノの性質を調べる実験が開始されます。宇宙から地球に降り注ぐ放射線が大気と衝突する際にもニュートリノは発生します。これを調べて大きな成果を上げたのが梶田教授でした。もともと理論的に予測されていたニュートリノの性質は、2つの状態を行ったり来たりするというものでした。ところがグループの観測データは3つの状態を行き来していることを示していたのです。この現象をニュートリノ振動といい、ニュートリノに質量があることの証拠となりました。またこれまでの素粒子物理学の基礎になっていた理論が修正されるきっかけとなったのです。

 今後、さらに性能を向上させたハイパーカミオカンデも建設予定です。現在宇宙に存在する物質を構成している素粒子の性質を調べることで、「なぜ宇宙に物質が存在するのか」を探っていくとしています。

東京大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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