筑波大学 生命環境系 国際テニュアトラック助教 竹下典男氏(現在、カールスルーエ工 科大学 応用微生物学科 グループリーダー兼任)らの研究グループは、従来の蛍光顕微鏡では可視化できなかった極性マーカーの挙動を超解像顕微鏡で可視化することによって、時空間的に制御された極性生長の過程を明らかにしました。

 細胞は均一な球体ではなく、不均等な形状をしています。これは、細胞の極性と呼ばれ、様々な細胞の機能に必須の性質です。細胞は、極性に従った生長によって、各機能に適した細胞形態で形成されています。極性の確立と維持は、細胞膜上の極性マーカーが極性部位を決定し、そこに向かって膜小胞が運ばれることによってもたらされます。しかし、膜小胞の融合によって細胞膜が伸長する際、伸長する細胞膜上でどのように極性マーカーが拡散せずに維持されるのかは明らかになっていませんでした。

 本研究では、超解像顕微鏡を使って、糸状菌をモデルに、極性マーカーの挙動を可視化しました。その結果、極性マーカーが細胞膜上に一時的に集合し、続いて細胞膜上で拡散する様子が観察されました。このように一時的な極性の確立が繰り返されることによって、極性が効率的に維持され、極性生長が行われることが分かりました。今後、細胞一般における細胞極性と形態形成のメカニズムの解明に繋がることが期待されます。

出典:【筑波大学】細胞の生長に重要な細胞極性が維持される機構を超解像顕微鏡により可視化 ~一時的な極性の確立を繰り返すことが鍵~

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