日本学術会議の大西隆会長(豊橋技術科学大学学長)は、大学改革の促進を訴える年頭メッセージを発表しました。少子化で日本の大学が縮小に向かう中、各大学が国際化を進めなければならないのに、大学の国際的孤立が進んでいることを指摘したうえで、時代に適合したさまざまな国際化戦略を打ち出す必要があると強調しています。

 大西会長は、2015年6月の人文社会科学系軽視問題に端を発した議論が日本の大学そのものに関わる議論へと発展してきたことを受け、少子化による18歳人口の減少と、国際化に伴う学生の流動によって、日本の大学が大きな転換期に差しかかっていると現状を分析。新年早々に開催した学術フォーラムのタイトルに「少子化・国際化の中の」という文言を入れ、日本学術会議としてこの問題に積極的な発言をしていく考えを明らかにしました。
少子化対策では、日本の若い大学生だけを対象に捉えていても、やがて大きく減少するのは避けられないとして、社会人の学び直し、女子学生の大学院進学、留学生の増加と真剣に取り組む必要があると各大学に訴えています。

 国際化対策では、世界の留学生数が400万人を超えようとする中、日本への留学生が6万人程度にとどまり、減少傾向にある点を指摘、日本の大学のグローバル化が軌道に乗っていない点を問題視しました。このため、英語と日本語双方によるバイリンガル教育の普及、留学生の国内での就職拡大など、日本学術会議としても大学が目指すべき道を探り、改革へ提案していく考えを示しました。

参考:【日本学術会議】会長からのメッセージ(大学改革の促進について)

大学ジャーナルオンライン編集部

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