京都大学薬学研究科の宗可奈子博士課程学生、医学部附属病院中川貴之准教授、薬学研究科金子周司教授ら研究チームは、正座などで起こる痛みに近いしびれは、皮膚近くの神経のタンパク質が血流が再開した後に出る活性酸素により刺激されて起きることを明らかにし、英国科学誌「サイエンティフィックレポーツ」に掲載されました。

 正座のあとなど誰もが経験したことのある感覚「しびれ」は、糖尿病、末梢神経障害などの疾患のほか、特定の抗がん剤による治療でも起こるものですが、詳しいメカニズムははっきりしておらず、この症状に効果のある薬もまだ開発されていません。

 血流が阻害されたあとに再開すると、細胞から大量の活性酸素が発生することが知られています。本研究チームでは、活性酸素に反応して痛みを引き起こす感覚神経のタンパク質「TRPA1」に着目。血流低下による低酸素状態がTRPA1の過敏化を誘発し、血流が再開することで発生した活性酸素がTRPA1を刺激した結果、痛みの情報が脳に伝わると予測しました。

 まずマウスの片側の後ろ足を糸で縛って血流を止め、しばらく置いてから糸を切って血流を再開させて「しびれ」を再現したところ、足の裏を激しく舐める行動が見られました。この行動は、長時間の正座をしたあとに足の感覚がなくなり、ビリビリとした痛みが走る感覚に似た現象と見られます。さらにこの状態のマウスにおいてTRPA1を欠損させると、しびれを感じなくなることが実験で確認されました。TRPA1の遺伝子をなくすこと、ひいては活性酸素を捉えて消失する作用のある薬や、TRPA1阻害薬によってもしびれが弱まるということになります。

 本研究でしびれのメカニズムの一端が判明したことになりますが、糖尿病など長時間たっても治まらないしびれでは違う仕組みがあると考えられるため、今後これらの疾患の病態動物モデルを作ることで、刺激により活性化したTRPA1の活動を弱めるなどする治療薬の開発が期待されます。

京都大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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