年を取るとなぜ虫歯の進行が遅れるのか。大阪大学歯学部附属病院の三浦治郎助教らの研究グループは、蛍光によって象牙質内のAGE(糖化最終産物)を捉えることで、老化に関与する物質AGEが象牙質虫歯の進行に影響を与えることを世界で初めて明らかにした。

 これまで、組織の老化や糖尿病といった循環器系の疾患では、AGEが組織内に蓄積することが知られていた。研究グループはすでに加齢によって歯も糖化し、AGEが象牙質に蓄積することにより歯のコラーゲン蛋白質が硬くなることを明らかにしていた。しかし、象牙質のような石灰化組織内部に存在するコラーゲン線維では試料が硬く、加工や検出手法の問題から、詳細なAGEの局在を調べることは極めて困難だった。

 今回、研究グループは電子顕微鏡を用いた免疫電顕法という手法と蛍光性のAGEに対する蛍光寿命測定法という手法を応用し、虫歯(齲蝕[うしょく]と呼ばれる)によって糖化が進みAGEが蓄積することを確認。さらに、加齢により象牙質にAGEが蓄積することで、象牙質の耐酸性、耐酵素性が上がり、虫歯の進行を抑制していることを発見した。また、特定のAGEが持つ蛍光特性を利用して虫歯領域を特異的に選別が出来るとことも分かった。このような歯科学と工学の融合によって、糖化と虫歯の関係が初めて明らかになった。

 今回の成果は歯科臨床において、AGEに関連した慢性齲蝕の進展メカニズムの解明や、新しい虫歯検出法や治療法の開発に大きく貢献するとされる。さらに、あらゆる組織において加齢や高血糖によって糖化が進行して蛍光性のAGEが蓄積することから、全身疾患を評価する手法にも応用できるとしている。

大阪大学
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大学ジャーナルオンライン編集部

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