埼玉工業大学工学部 生命環境化学科の秋田祐介教授は、かずさDNA研究所、九州大学、香川大学と共同で、シクラメンの育種やゲノム研究の基盤となる高精度な全ゲノムの解読を行い、4万個以上の遺伝子を特定した。花の進化の謎が解き明かされ、新たな品種開発の加速が期待される。
園芸品種のシクラメンには二倍体と“四倍体”のゲノムが混在し、古くから存在する品種に多い四倍体はゲノム構造が複雑だ。そのため、これまで育種や研究の基準となる高精度な「参照ゲノム」の整備が遅れていた。しかし、現在の園芸品種のルーツで二倍体のゲノムを持つシクラメンのゲノムが解読できれば、美しい花が咲く仕組みや、この植物の進化の謎を解くための重要な鍵となる。
研究グループは今回、最新のゲノム解読・解析技術を駆使して、二倍体のゲノムを持つシクラメン・ペルシカム(Cyclamen persicum)のゲノムを高精度に解読することに、世界で初めて成功した。
解読されたゲノムサイズは約14億8000塩基対で、24本ある染色体の両端までほぼ完全に解読できたものも複数あり、解読の網羅率は98.1%と極めて高い水準を達成した。ゲノム全体の約83%は同じ配列が繰り返される反復配列だったが、その中から生命活動に必要なタンパク質を作る遺伝子を4万223個特定した。この中にはシクラメン特有の遺伝子群やサクラソウ科に共通する遺伝子群が含まれており、植物進化の理解への手がかりが得られた。
今回の成果により、花の形や色、香り、球根(塊茎)の成長などに関わる遺伝子の解明を効率的に進め、既存の研究データと統合することで遺伝子機能の解析や新品種開発を加速させ、美しく丈夫なシクラメンの効率的な育種が期待できるとしている。


