山口大学の研究グループは、最長11年間にわたる追跡研究により、小児・思春期の精索静脈瘤患者では、早期に手術を受けた群で、成人後の精巣容積や造精機能が良好に保たれることを明らかにした。
精索静脈瘤は、思春期男子の約20%に認められ、精巣の発達障害や将来の男性不妊症の原因の一つとなるとされる。治療には手術と保存療法(経過観察)があるが、成人後の造精機能を保護するための最適な手術時期については、十分に明らかとなっていなかった。
そこで本研究では、精索静脈瘤と診断された小児・思春期の患者125例を対象に、20歳到達時まで毎年継続して経過観察を行う長期コホート研究を実施し、精巣容積や精液の質への影響を検討した。
その結果、手術を受けた患者群では、保存療法群と比べて精巣の発達(精巣容積)が有意に大きかった。左右の精巣容積差が20%未満へと改善する「キャッチアップ成長」は、手術群の92%で確認され、保存療法群の20%を大幅に上回った。
20歳到達時点における精巣容積も手術群で有意に大きかった。また、20歳以降に同意を得た82例の精液所見では、総運動精子数が手術群で保存療法群の約2.8倍と顕著に高く、正常な造精機能が維持されていることが示された。
さらに、手術を受けた時期別の解析では、高校生期に手術を受けた群よりも、小学生・中学生期に手術を受けた群の方が、成人期の精巣容積および総運動精子数が有意に高いことも明らかとなった。
以上の結果から、小児・思春期の精索静脈瘤では、小学生・中学生期に手術を受けた群で、高校生期に手術を受けた群よりも、成人後の精巣発達や造精機能が良好であることが示された。
本研究成果は、将来の男性不妊症予防に向けた国際的なガイドラインの改訂や、臨床現場での適切な手術決定に大きく貢献することが期待される。
